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安全に信頼感、「家賃でポイント」魅力
クレジットカード 「家の鍵」兼ねます  
  東京朝刊 by 頼永博朗
「家の鍵」にもなるクレジットカードが相次いで登場し、分譲・賃貸マンションを中心に採用され始めている。カードを専用の読み取り端末にかざすことによりドアの開施錠が可能であるため、鍵穴をなくすこともできるほか、鍵のシリンダーを交換する必要がなくなり、「高い安全性」が売り物という。管理費や家賃の支払いも、これ1枚で済むという利便性も備え、次世代の「鍵代わり」といえそうだ。

専用の読み取り端末にかざすことにより、玄関のドアを開施錠できるクレジットカード(撮影・頼永博朗)

分譲マンション
国内クレジットカード最大手のジェーシービー(JCB)は昨年1月、オリックス・リアルエステート、クマヒラなどと組み、鍵機能を持ったクレジットカードを開発した。「マンション、カード両業界で初の試み」で、同10月に兵庫県芦屋市に完成した分譲マンションに導入されている。

カードに、非接触と接触の2種類のICチップを搭載。マンション敷地内に入る際、エントランスの端末にカードをかざすと、自動ドアが開く。各部屋のドアの開錠には、カードの読み取りに加え、暗証番号を端末に入力させるという防犯対策も。マンション内の貸金庫にも使える。

管理費や積立金の支払いもでき、支払額はポイントとして加算されるほか、通常のクレジット機能も持つ。入居している30代の女性は「持ち運びが楽で、防犯上の安心感もある」と話す。

三井住友カードも、大阪市内に平成20年に完成予定の高層マンション(560戸)の入居者向けに発行する計画。鍵機能に加え、関西電力のオール電化物件を対象に電気使用量に応じてポイントがたまる「はぴeポイントクラブ」の会員証も兼ねる。

賃貸やホテルも
賃貸マンションやビジネスホテル向けの鍵機能付きクレジットカードを24日に発行するのは、オリエントコーポレーション(オリコ)。

マンションの入居者は、管理会社との賃貸契約とともにカード会員になる。発行されたカードには個人認証のためのICチップが内蔵され、契約した部屋の玄関にある専用の読み取り端末が住人であることを確認し、開施錠が可能となる。

ホテルの宿泊客は、カード番号を基にインターネットか電話で予約・決済する際、泊まる部屋が決まる。あとは、部屋入り口の端末が宿泊客であることを認識し、宿泊期間であれば、この部屋に限り自由に出入りすることができる。このため、フロントでのチェックイン、チェックアウトの手間が必要なくなる。

賃貸マンションの入居者は、カードによる家賃の支払いが可能で、毎月の振り込む手間が省け、支払額に応じてポイントも加算される。一方、物件所有者は、家賃保証を受けられるほか、入居者が代わる際、鍵のシリンダー交換が必要なくなるという利点もある。カードに対応した賃貸物件は8月末現在、九州を中心に29棟ある。

オリコ料金営業部長の大久保俊二さんは「高い安全性とともに、高額な出費の家賃にポイントが付くお得感もある。利用できる物件が増えれば、出張や転勤の多い人の利便性は高まる」として、全国の不動産・ホテル業界を中心に売り込みを進めている。

多機能化…紛失・盗難など不安
クレジットカード(ICカード)の多機能化に魅力を感じている消費者も、その一方で紛失や盗難時への不安を抱いていることが、みずほ情報総研などによる「ご家庭のカード利用に関する調査」から分かった。

調査は平成16年9月、20〜50代の男女(有効回答数5118人)を対象に実施。それによると、クレジットカード保有者(94・7%)の1人当たりの保有枚数は約3枚だが、うち1枚は使用されずに「休眠中」だった。クレジットカード各社がカードの多機能化を進める背景には稼働率を高めたいという狙いもあるようだ。

また、カード使用者の半数以上が、他のカード機能も兼ねたいと考える一方、男性で約3割、女性で約4割が他の機能を兼ねることに難色を示した。理由としては、紛失や盗難時に「リスクが増すのではないか」「カード会社などへの連絡手続きの手間も大変なのではないか」といった不安の声が挙げられている。

みずほ情報総研では「多用な機能を併せ持つ新型カードが普及していくためには、利便性を安心して享受できるだけの安全の確保が欠かせない」と分析している。



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