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ウィルコムがW−SIMカード開発
速く・安く・便利に PHSが変わる 
  東京朝刊 by 谷口正晃
PHS最大手のウィルコム(東京)は18日、最適な通信状況を自動で選択する通信規格に対応した初の超小型通信モジュール「W−SIM(ウィルコムシム)」を、12月中旬に発売すると発表した。既存端末内の通信の心臓部を差し替えるだけで、通信速度や通信品質が向上する。容易に性能向上を図れるため、利用者には速く、安く、便利なうえ、開発負担にあえぐ端末メーカーにも朗報。東京ビッグサイトで始まったパソコン見本市で、早くも人気を集めている。

通信モジュール「W−SIM」を変えるだけで複数の端末が使える

ウィルコムは、電波状態に合わせて最も良い通信環境を自動選択できる新規格の高度化PHSの基地局導入を進めている。電波状態が良好な場合は速度を重視し、不安定な場合は安定性を重視する通信を自動選択するシステムで、2月下旬から提供を開始した。

従来のPHSの1チャンネル当たりの通信速度は最大で毎秒32キロビットだが、高度化PHSでは1・6倍の51キロビットが可能だ。今回の新W−SIMはこれに対応し、カードを変えるだけで4チャンネルを束ねて最大204キロビットのデータ通信が利用できる。今後も高速化を進める予定で、「理論値では最大1・6メガビットまでの通信速度向上が見込める」という。

ウィルコムは、抜き差し可能なW−SIMに対応する商品群を「ウィルコム・シム・スタイル」として開発を進め、新W−SIMを内蔵したパソコン用データ通信カードを11月16日から、音声端末「9」を12月中旬から市場に投入する。

また、W−SIM単体も5000円前後で発売され、人気の「W−ZERO3」などのW−SIM対応端末を、料金体系や月額料金をそのままに機能を向上させられる。電話番号はW−SIMに振られるため、複数端末の使い分けも可能だ。

多品種化が求められる一方で、百数十億円に達する開発費にあえぐ携帯電話メーカーにとっても、ウィルコム方式は福音をもたらす。

開発が難しい通信機部分を切り離せば、端末の製作は容易だ。ウィルコム向けでは、「開発期間は通常の携帯電話の3分の1程度に短縮でき、最低製造単位も数十分の1程度に落とせる」と、低コストで多品種化の実現に道を開いたという。



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【用語解説】ウィルコム・シム・スタイル
小型化したアンテナと無線機搭載のカード型多機能通信モジュールW−SIMに対応する商品群の総称。携帯電話だけでなくパソコン、医療機器、デジタルカメラなどへ搭載も可能。日本産業デザイン振興会の「グッドデザイン賞」(Gマーク)金賞を今年受賞した。

PHS 日本発の携帯電話技術。現行PHS規格を改良した高度化PHS規格がスタート。さらに、送受信が毎秒20メガビットという次世代PHS開発も、平成22年の商用化を目指して進んでいる。