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日本テレビ系「たったひとつの恋」
「たったひとつの恋」 切なく優しい北川ワールド 
  東京朝刊 by 安藤明子
「視聴率を取るためにこうしようとか、時代に合った物を書こうと思ったことはありません。普遍のテーマがわたしのメッセージです」−。大ヒット作「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」などの脚本家で若い女性から絶大な支持を得ているラブストーリーの女王、北川悦吏子の2年半ぶりの連続ドラマとなる日本テレビ系「たったひとつの恋」(土曜後9・0)。14日の初回視聴率は12・8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったが、今後の展開とともに上昇カーブを描いていくか。ファン待望の今作のねらいなどを北川に聞いた。

北川悦史子

北川ドラマは、聴覚障害のある女性と就職活動中の若者との恋を描いた「オレンジデイズ」(TBS系)以来。日テレでの連ドラは初めてで、今回のテーマは「せつなくて、痛くて、でも、失くせない… たった、たったひとつの恋」。

北川が「自分らしさは何かなと考えると、リアルさかな、と。だから視聴者が『こういうことってあるんじゃない』と共感してくれるのでは」と自己分析するように、さりげないせりふとエピソードでつづる自然体が北川ドラマの魅力。障害などのハンディを持つ若者の恋を取り上げているのも特徴の1つだが、今回のハンディは「境遇」。横浜の場末にある工場の息子、弘人(亀梨和也)と、おしゃれな元町にあるジュエリーショップの令嬢、奈緒(綾瀬はるか)との恋を、切なく優しく描いていく。

「見方によっては『ロミオとジュリエット』だけど、ある町の小さな恋の物語という“ささやか感”をだしたかったから大会社の社長令嬢ではなく、元町ブランドのお店のお嬢様という設定にした。だれでも1人の人と巡り会えるのでは…、その巡り会いをたったひとつのものに育てていけるのでは…。大事なものをあきらめずに見つけたり育てたりする気持ちがまだ若い人たちにあることを信じたい…と、自分なりのいろんな思いを込めて書きました」と北川。

主演の亀梨も綾瀬も北川ドラマは初体験だが、「エピソードの1つ1つがリアルなのが印象的。芝居や衣装のアイデアが次々と出てくる」(亀梨)、「まるで私の心の中を見られているようなせりふばかり」(綾瀬)とすっかり北川ワールドにはまっている。

にっかつ撮影所のドラマ企画担当だった北川が脚本家に転身して15年。テレビ離れ、ドラマ離れといわれる中で、「素顔のままで」(フジ系、平成4年)▽「愛していると言ってくれ」(TBS系、7年)▽「ロングバケーション」(フジ系、8年)▽「ビューティフルライフ」(TBS系、12年)−と立て続けにヒットを飛ばし、平成を代表する脚本家の地位を不動のものにした。

だが、「(視聴率の)プレッシャーがないと言ったらウソになる。悪かったときに一番へこむのは自分」とこちらの方も自然体。時の流れとともに恋愛のあり方も大きく変わってきた感があるが、「わたしが書くものが好きだというスタッフが増えてきた。視聴率よりもそちらを死守したい」と自分流への自信をのぞかせた。



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