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対策便器も登場 
男性の小用 予想超す飛び散り 進む研究
  東京朝刊 by 森浩
男性が立って小用をした場合の“飛び散り”の研究と対策が進んでいる。研究によって、実は「予想を超える」飛び方をしている実態が分かってきていると同時に、それならばと、「飛び散り阻止」を目指した便器もお目見えしようとしている。

ねらい所を光で示す「ビューティー・トワレ」。便座には汚れが付いても拭き取りやすいコーティングもなされている(撮影・森浩)

2300滴
東京都に住む主婦(32)は、日々のトイレ掃除にげんなりしている。「なんでこんなところにまで、という汚れがあって不思議です」と、“男が作り出す謎の世界”に首をかしげ、苦笑した。

この謎の解明が進んでいる。男性が小便をした際に飛び散る範囲は、便器には到底収まり切れていないという実態が最近の研究結果で明らかになってきているのだ。

トイレ環境について研究をしている家庭用洗剤メーカーのジョンソンと北里環境科学センター(神奈川)では、一般家庭の洋式トイレで小用の飛び散りを計測した。その結果、男性が立って小用をすると、床には便器の一番手前から前方に最大40センチ、壁には、床から最大30センチの高さまで尿が飛び散っていた。

さらに1カ月掃除をしなかった便器(男性1人使用)にブラックライトを照射した結果、便座操作パネルなど、ところどころに目に見えない尿の汚れが浮かび上がった。「飛び散っていた範囲は想像より広かった」と同センターでは語る。

また、ライオン(東京)の研究員が計測した結果、男性が立って7回使用(約1日分に相当)すると、約2300滴の尿が洋式便器の外に飛び散っていたことも分かった。尿がはねた部分ではスタフィロコッカスという菌が多いことも分かり、同社では「この菌によってアンモニアが発生し、悪臭の源となる。便器以外でも念入りな掃除は必要」と呼びかけている。

的を狙え
そんな、飛び散りを抑えることを目指した便座が来月発売される。

松下電器(大阪)は来月1日、温水洗浄便座「ビューティ・トワレ」の新シリーズを投入する。“売り”は新たに設けた「エチケットポイント」機能だ。

男性が小用時に便座を上げると、“的”が緑色の光で示される。的は、立った状態の男性から見て、ちょうど水面の中央部に位置している。的確に“狙う”ことにより、飛び散りを軽減させることができる仕組みだ。「研究の結果、水面の中央部を狙った方が他の場所に比べて、3分の1程度に飛び散りを抑えられることが分かりました」(同社広報チームの秦慶治さん)

空港や大型商業施設など人が多く集まる場所の男性用トイレで、「的」をシールで張り付ける試みはあるが、家庭用では珍しい。秦さんは「家庭のトイレの清潔性を求める声に応えました」と、商品に自信をみせる。

決め手は座る?
住宅設備メーカーのINAX(愛知)が昨年、主婦1030人を対象にしたアンケートで浮かび上がったのが、家庭の「男性の数」と、悪臭の因果関係だ。

「普段トイレの悪臭を感じたことがある」という回答は、男性がいない家庭では16・7%だったのが、1人いると一気に増加し34・5%に達した。2人で49・6%、4人以上だと66・7%にもなる。同社広報では「男性の場合、便器の中にしたつもりでも飛び散ってしまう。(その飛沫(ひまつ)が)掃除し切れていないという現状があるのでは」と分析する。

北里環境科学センター技術部長の奥田舜治(しゅんじ)さんは、“飛散”の防ぎ方について、「最近よく、男性も座って小便することを(家族らから)要求されているようだが、効果的だろうと推測される」とし、対策の1つに“座りション”を挙げている。

“狙い”さまざま
水面の中央を狙うと、飛散も減るようだが、小用にも十人十色の“流儀”があるようだ。

ライオンが一昨年、男性104人を対象に、“狙う位置”について聞いたアンケート調査の結果によると、洋式便器の水たまりの「手前」が43%、「中央」が36%、「奥」は14%であることが分かった。

同社広報では「中央を狙うと大きな音がすることから、あえて避ける人もいるようです」と分析している。



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