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サークル、電車広告…高まる関心 
再燃なるか「クイズブーム」 
9月12日(火) 東京朝刊 by 森浩、水野愛子
ストレス社会のカタルシス(浄化)として、クイズへの関心が高まりつつある。クイズサークルやゲームが活況を呈する一方、新しい広告の手段としても注目を集める。なかなか解けない悩みを多く抱える現代人。問題を解くことで、つかの間の快感が得られる!?

カップルで挑む姿も見受けられる「クイズマジックアカデミー3」。プレイヤー数は40万人を超える(撮影・森浩)

解答する喜び
8月末、東京都渋谷区の区民会館に女性が続々と集結した。社会人クイズサークル「クイズ部」(東京)が主催する「女だらけのクイズ大会」。“クイズ王”が数々輩出された「クイズブーム」末期の平成8年にスタートし、今年で11回目。ブームの終焉(しゅうえん)とともに参加者は減り続けていたが、今回はスタート時と同水準の約50人が集まった。

参加者は大学生から、孫のいる世代まで幅広い。「問題に答えることが純粋に楽しいし、ストレス解消になる」(参加した20代女性)という。「クイズ部」の副部長で、テレビ番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」のチャンピオンでもある能勢一幸さん(37)は「クイズの喜びは、問題に正解する喜び。快感を感じる人がもっと増えていってほしい」と、参加を呼びかける。

「視聴者参加型」のクイズ番組には参加希望者が殺到している。
早押し機を通じた女の戦い―。「女だらけのクイズ大会」は熱気に包まれた=8月26日、東京都渋谷区(撮影・森浩)



「パネルクイズ アタック25」(テレビ朝日系)では、年に2、3回予選会を開催しているが、応募者は実に昨年1年間で4万人。参加型のクイズ番組が減っているという現状もあるが、「番組開始から30年を超えて、ここにきて急に伸びている」と同社広報では目を丸くする。

全国の猛者と対戦
爆音がとどろくゲームセンターにあって、ひときわ異彩を放つゲームがある。競うのは反射神経や指先の器用さではなく、知識だ。

コナミ(東京)が全国展開する「クイズマジックアカデミー」は、ネットワークを経由して、全国のプレーヤーが同時にクイズの解答を競い合えるゲームだ。平成15年のスタート以来、現在は第3弾が稼働中で、シリーズ累計の参加者は延べ150万人を数える。

問題は「マルバツ」や「四択」「連想ゲーム」など、テレビ番組でおなじみのものばかり。週単位で問題は追加され、時事問題も出題される。

同社広報では「テレビ番組の『トリビアの泉』(フジテレビ系)から始まった雑学ブームともあいまって、知識をためる、競うことに注目が集まっているのではないか」と人気の背景を分析している。

目をくぎ付けに
一方、クイズは新しい広告の手法としても注目を集めている。

東京都心部をぐるりと一周する山手線。全車両のドア上部に、15インチの液晶モニターが設置されているが、企業がスポンサーとなって、雑学や英会話など3種類の“クイズ番組”を放映している。「山手線のお客さまの平均乗車時間は12分。目をくぎ付けにする方法として、クイズはうってつけの手法」と意図を語るのは、山手線内の広告を手がけるJR東日本企画(東京)広報部の中村芳明さんだ。

“番組”そのものは平成14年からスタートしたが、現在のラインアップとなったのは今年1月から。「訓読みの数が多いといわれるのはどの漢字でしょうか。 A・下 B・生 C・空」(正解はB)といったクイズを紹介した後、企業のCMが流れる。乗客へのアンケートの結果、評判は上々で「ニュース・天気予報」といった情報よりも、好感度は高く、他の路線への設置も視野に入っている。

『クイズ文化の社会学』の著書がある大阪市立大学の石田佐恵子助教授(社会学)は、「参加者が増えている理由はよく分からないが、シンプルな問いと答えでカタルシス(浄化)が得られるのが魅力なのだろう」と分析。「電車の中での広告のように、さりげなく人をひきつけるためにクイズが利用される機会が増えている。特にインターネットでは、広告をクリックさせるためのクイズ形式での広告が増えてくるだろう」と、今後のクイズの拡大を予想している。



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