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行くぞ!!マイアトム
人型歩行ロボット作ろう 熱い中高年 
  東京朝刊 by 森浩
中高年の趣味として「人型ロボット」(ホビーロボット)の人気がじわり広がっている。ドライバー1本で自作できるが、「側転」や「しこ踏み」から、「コサックダンス」まで複雑な動きを記憶する優れものだ。改造も比較的容易で、自分だけの「マイロボット」を作り出すことも。購入者の中心は50歳以上。鉄腕アトムを育てたお茶の水博士の気分にひたれる!?

さらにデザインを洗練させた新型マノイ「PF01」は年内中に投入される予定

孫が尊敬
「自分のアトムを作っている気分です」−。埼玉県に住む男性(63)は、寝ても覚めても全長30センチの2足歩行ロボットのことを考える日々だ。しかも自己満足だけではない。「ロボットを孫の前で動かしたとき、『おじいちゃんすごい』と、尊敬してくれました」と“副産物”にニンマリする。

この男性のような中高年が増えている。日本で唯一の「ロボット作製教室」を昨年から展開しているアールティ(東京)では、参加者の8割以上を占めるのが50代以上の男性だ。「意外と簡単にできるので驚かれる方も多い。みなさん完成したらまず、おそ松くんの『シェー』のポーズを取らせます。なんだか世代を感じてしまいます」と同社代表の中川友紀子さんはほほえむ。

「ラオックス ザ・コンピュータ館」では、問い合わせの増加を受け、昨年8月からロボット売り場を立ち上げた=東京都千代田区

現在、自作可能な人型ロボットを発売しているのは8社程度。多くのロボットは、本体にパソコン用のメモリーを搭載していて、思い通りの動きを“記憶”できる。また、リモコン装置で遠隔操作し、ロボットを操縦することもできる。

技術革新が急速に進んだことで、5年前なら100万円はした性能のものが、「今や10万円程度にまでなった」(中川さん)ことで趣味として急速に広がっているという。

品切れ続出
実際、売り上げは絶好調だ。近藤科学(東京)が6月に発売した「KHR−2HV」(実売価格9万円程度)は、2年間で8000体の売り上げを目標にしているが、「飛ぶように売れ」(同社)、在庫切れの状況が続いた。平成16年発売の前機種よりもパーツ数を25%減の250点に抑えて初心者にも作りやすくしたうえ、関節部のモーターも強化し、複雑な動きを可能にした。

同社営業部の平井利治さんは「完成後でも関節を増やして、いっそう複雑な動きを表現することもできる。これで10万円程度の値段であることがヒットの要因では」と分析する。

京商(東京)が6月に発売した「マノイ」(14万7000円)は、配線むき出しのロボットではなく、“かわいらしさ”を追求した。「やはりアトム世代の方々は工学的なデザインでは愛着がわかない。機械的な雰囲気を減らしました」と同社では解説する。

売り上げも好調で、さらにデザインを洗練させた「PF01」を年内中に投入する予定だ。昨年11月にハイテックマルチプレックスジャパン(東京)が売り出した「ROBONOVA」も9万8000円ながら、これまでに1000体を売り、ヒット商品となった。

大会も盛況
ロボット大会も盛り上がりを見せている。自作ロボットのデザイン性や運動性能を競う「ROBO−ONE」の第10回大会が今日16日から山形県で開かれる。参加人数は第1回は30人程度だったが、100人を超えるまでになった。「ロボット趣味が高じてロボット関係の会社を起業されたシニアもいる。中年の方の盛り上がりを感じます」と運営するROBO−ONE委員会では語る。また、京商では「5メートル走」などロボットによる運動会を計画中だ。

これらホビーロボットの市場規模は、はっきりとは分からないが、「ラオックス ザ・コンピュータ館」ロボット売り場担当の小野久暢(ひさのぶ)さんは、「ホビーロボットの開発はまだ途上。今後、ソフト開発が進んで、さらなるロボットの楽しみが生まれるだろう」と、今後の市場拡大を予想している。



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