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賭博金に問題も…
マカオカジノ急伸 売り上げベガス抜く勢い 
  東京朝刊 by 福島香織/北京
中国政府が唯一公式にカジノを認める特別行政区のマカオが今年、米国のラスベガスを抜き世界一のカジノ都市となりそうな勢いを見せている。今年上半期のマカオカジノの売り上げは31億ドル(約3600億円)でラスベガス33億ドルを猛追。高度経済成長で豊かになった中国人観光客が急増したほか、汚職にからむチャイナマネーがとめどなく流れ込んでおり、米資本も参入、地場カジノとの競争も激烈化している。

マカオで今月6日、カジノの建物外壁の仕上げを行う建設作業員。一大賭博ブームに沸いている(ロイター)
マカオで今月6日、カジノの建物外壁の仕上げを行う建設作業員。一大賭博ブームに沸いている(ロイター)

汚職・脱税…
躍るチャイナマネー
マカオ政府によると、05年のマカオのカジノの売り上げは57億ドルでベガスの60億ドル規模に肉薄。米国の市場調査会社のグローバリシスは、ラスベガスについて「市場が成熟しつつあるため、大きな伸びは望めない」としており、来年は18%増の80億ドルと急成長する見通しのマカオがラスベガスを逆転する可能性もあるとみている。

マカオでは、今月6日、ラスベガスのカジノ王、スティーブ・ウィン氏が大型レジャー施設「永利リゾート」をオープン。投資額は、7億2000万ドル(840億円)、巨大な噴水に照明などを備え、従来の賭博場のイメージをがらりと変えるリゾートカジノに賭博客が詰めかけた。

マカオカジノが対外開放された2002年以来、経営権を取得した外資系は5社にのぼり、マカオ博彩(SJM)の独壇場だった勢力地図を塗り替えつつある。

ベガス資本が中国の南の小島に大金をかけるのは、マカオへの個人旅行が解禁となった中国本土のチャイナ・マネーに目をつけたからだ。マカオ政府によると、02年に年間27億ドル規模だったマカオカジノの売り上げは、今年上半期31億ドルで前年同期比14%増を記録している。本土からの旅行者も2000年の227万人が、昨年1046万人に増加した。

ただ、利用客が持ち込む賭博金に問題がある場合も多い。マカオ日報(17日付)によると、中国人客の多くが「高級公務員」。VIPルームで賭けられる金のほとんどが収賄や横領、脱税に由来し、カジノは資金洗浄の場ともなっている。公金9000万元(約13億5000万円)をマカオカジノにつぎ込んだ広東省東莞市塘厦鎮鎮長のケースなど昨今、汚職高官の検挙も相次いでおり、昨年は「数十人の地方幹部や国営企業幹部が数百万元から1億元を浪費した」として、党規律検査委員会が党員や公務員の賭博行為禁止を通達したほどだ。

2009年まで新たな外資系カジノや娯楽施設のオープンがめじろ押しだが、その華やかな鉄火場の陰で「カジノで使われる金は本土の庶民の血と汗、マカオの発展は即ち本土の消耗だ」(マカオ日報)といった庶民の不満も目立ち始めている。



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