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「健康優先」「強制に反発」 
スペインのモデル「やせ過ぎ規制」 欧州で論争
  東京朝刊 by 坂本英彰
スペイン・マドリードのファッションショーで今月導入されたやせ過ぎモデル禁止の規制をめぐる論争が、ヨーロッパ各地で波紋を広げている。過剰なダイエットに走る若い女性への悪影響を防止したい行政と規制を嫌う業界の攻防といった様相だが、その決着は各都市でまちまちのようだ。秋のファッションショーはたけなわ。だが、華やかな舞台の裏で「体重論争」がかまびすしい。

今月18日から22日に行われたマドリード・ファッション・ウイークでスポンサーの行政当局は、「体格指数(BMI、体重を身長の2乗で割った数値)」が18を下回れば失格との規制を導入した。審査を受けた5人が失格になり、応募を見送った人も多かったとみられる。

同市は、モデルをまねようとする若い女性が健康を損ない、悪影響につながることを理由としている。米紙ニューヨーク・タイムズによると、今年8月、南米ウルグアイのモデルがショーの最中に倒れて死亡。原因は女性が体重を落とすため何カ月もレタスとダイエットソーダだけで暮らしていたことにあった。

こうした例が深刻化すれば、ファッション都市のイメージも損ないかねず、マドリードでは、業界側も比較的スムーズに規制を受け入れたようだ。

デザイナーのひとりは「健康的なイメージを作り出したいから反対はしない」と、ロイター通信に回答した。

ヨーロッパのファッション界をリードするイタリアのミラノでも、行政側は規制導入に踏み切った。

モデル会社の代表者はロイター通信に「マドリードの規制が適用された場合、うちのモデルの80%は仕事ができない。ナオミ・キャンベルも、今後キャット・ウォーク(張り出し舞台)を歩けなくなるだろう」と話したが、渋々、行政側の説得に応じている。

BBCによると、マドリードの試みに賛同したミラノ市長は、積極的にキャンペーンを後押し。同市のファッション・ウイークが始まった23日には次回シーズンの2月から、健康証明書の提出をモデルに義務づけることを発表した。

しかし、ロンドンでは事情が違った。ファッション・ウイークを運営する業界団体が「あからさまな禁止は、取るべき方法ではない」として、ジョウェル英文化相が求めた細すぎるモデル禁止の要望を拒否。同大臣の「細身にこだわるファッション業界の志向は、若い女性の自己像と健康を害している」との声明に、対決姿勢を示している。

日本の場合は、体形の違いもあってか、今も論争にすらなっていない。ヒロココシノデザインオフィスの楢崎寛専務は「東京コレクションのために150人ぐらい審査したが、その規制にひっかかる人は数人いるかどうか。細すぎてもモデルとしてはよくないし、スペインの件はピンとこない」と話している。



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