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“体質改善”加速
道路公団民営化1年 新雑誌やスタバ… 
  東京朝刊 by 三枝玄太郎
赤字体質や天下り体質が批判を浴びた旧道路公団が民営化され10月1日で1年。分割民営化後の東日本、中日本、西日本の高速道路会社では、新雑誌創刊のほか、10月から人気カフェの「スターバックスコーヒー」の出店を東北道で予定するなど試行錯誤しながら利用者へのサービスを工夫。「旧道路公団時代はアイデアを出しても通らなかった」(関係者)という体質から変わりつつある。

高速ウォーカー
今年4月20日にSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)に置かれた「エリアガイド」(道路地図)がリニューアルされた。東日本高速道路が角川クロスメディアと提携し、「ハイウェイウォーカー」5月号が創刊。毎月20日発行の同誌は年960万部を発行、一部はインターネットで高値で売買されるほどの人気だ。

東日本高速道路によると、旧公団時代は年8億4000万円かけていた発行費用が3分の1で済んだ。角川が広告を集め、収入を得る代わり、リスクも負うが、高速道路会社はドライブ旅行を誘引できる。「旧公団時代は民間会社との提携はご法度でした」(広報室)という、旧公団時代からすれば画期的なことだ。

旧道路公団時代にはなかった「SA・PA味めぐり」などSA・PAレストランの目玉メニューや温泉地の紹介などもある。越後川口SA(新潟県)のへぎそばは掲載後、前年比40%も売り上げが伸びた。

旧公団時代のエリアガイドは折りたたみ式の大きな地図が書かれただけのそっけないものだった。

表紙にも人気女優の長澤まさみさん、堀北真希さんらを起用、角川クロスメディアが発行する「東京ウォーカー」を意識した表紙の体裁になっている。

「やさい村」
スターバックスコーヒーの出店も10月から東北道・蓮田SA(埼玉県)の上りにオープン予定だ。今年4月29、30日に関越道・高坂SA(埼玉県)で試行した車の移動販売店での販売で1日1000杯以上の売り上げがあり、ニーズを再認識した。

また昨年10月から常磐道・守谷SA(茨城県)上りと、上信越道・松代PA(長野県)上り、東北道・前沢SA(岩手県)上下で年中無休(守谷のみ週末、祝日の午後)行っている「やさい村」と呼ばれる野菜即売所も好評だ。

生産者の高橋甚一郎さん(60)=守谷市=は7反の畑で作付したしょうが、なす、じゃがいもなどをすべて「やさい村」に出荷している。

高橋さん自ら守谷SAで、消費者と対話しながら売る。「農協を通すと、形の悪い3分の1の農作物は捨てなければいけない。前日の夕方か当日朝に取った野菜を安く販売でき、消費者、生産者双方にメリットがある」と高橋さんは話す。

東日本高速道路会社は今後、現在、管内で7店舗のコンビニエンスストアを増やす計画も立てている。ある職員(37)は「旧公団や旧道路施設協会時代は、何かアイデアを出しても営利は追求しない、という旧公団の性格があだになって通らなかった。上の人もつぶす理由を考えている感じで、職員の顔がお客さまに向いていなかった。今は仕事が楽しい」という。

一方、別の職員は「民営化されたとはいえ、一般的な企業よりはやはりお役所気質が抜けない。今後2、3年で道路会社は変わった、と言われるようにがんばりたい」と話している。



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