大ヒット作の続編映画が相次ぐ今年の夏シーズンに、オリジナル作品として大健闘しているのがハリウッドのSF大作「トランスフォーマー」(公開中)だ。米国では7月3日に公開されて約3億ドル(約350億円)を稼いだが、今年3億ドル超えの作品はまだ4つだけ。日本でも好調な出足で、主役に抜擢(ばってき)された若手俳優、シャイア・ラブーフ(21)は「僕ってホント、世界で一番ラッキーな男かも!」と大喜びだ。
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シャイア・ラブーフ |
今年公開の作品で一番稼いでいるのは「スパイダーマン3」で3億3600万ドル(約420億円)だが「トランスフォーマー」は現在、「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」を抜いて4位。3位の「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」も抜き去りそうな勢い。日本でも4日に公開され、早くも約16億円を稼いだ。
映画の原点は、日本製の男の子向け玩具だ。自動車がロボットに変身するこの玩具が米で人気商品に。それが漫画やテレビアニメ化され、さらに人気が拡大。約20年にわたって子供たちをとりこにしている。
そこに着目したのがスティーブン・スピルバーグ(製作総指揮)とマイケル・ベイ(監督)というハリウッドを代表するヒット・メーカーのコンビ。製作開始の時点でヒットは確実視されていたが、わざわざサプライズまで用意していた。それがラブーフの抜擢だ。
「『トランスフォーマー』は僕たちの世代にとっての『スター・ウォーズ』。玩具もたくさんもっているよ。だから主役に選ばれるなんて夢にも思っていなかったよ」と興奮気味に語る。とはいえ好きな監督が「エリア・カザン」と答えるところが案外古風かも。

それにしてもラッキーな人だ。現在製作中の「インディ・ジョーンズ4」でも重要な役に選ばれた。「ハリウッドで一番ラッキーな男? 確かに。僕もそう思うよ。理由は…うーん、分からない。それが分かれば苦労はしないさ」
この作品では体力トレーニングが大変だったという。「最初に聞かれた質問が『痛みに耐えられるか?』だったんだから(笑)。ほとんどの出演者は切り傷とあざだらけさ。僕は運良く大きなケガはしなかった。あ。やっぱり運がいいんだな(笑)」
自動車や携帯電話、戦闘機などに変身していた地球外生命体が人間型ロボットに変身し、地球を攻撃するという物語だが、約1億5000万ドル(約177億円)の製作費をかけただけある。あらゆる機械がなめらかな動きを伴いながら一瞬にしてロボットに変身する特殊撮影には驚かされる。記者は先ごろニューヨークで見たが、米国の観客の熱狂ぶりは予想以上だった。
「『レイジング・ブル』(80年)のロバート・デ・ニーロの演技がカメラに収められた最高の演技」と話していたラブーフだが、ニューヨークのホテルでテレビを見ていると、米老舗お笑い番組「サタデー・ナイト・ライブ」にゲストとして登場。コントに果敢に挑戦する姿があった。