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SFアニメ「ベクシル−2077 日本鎖国−」
3Dで近未来リアルに
    東京朝刊 by 岡田敏一
CG(コンピューター・グラフィック)を駆使した3D(立体)アニメといえばハリウッドが主流になっているが、18日公開の日本のSFアニメ「ベクシル−2077 日本鎖国−」(曽利文彦監督)では、ハリウッドに勝るとも劣らない優れた立体映像が楽しめる。ハイテク産業が発展し過ぎた日本が鎖国に追い込まれるという物語設定もユニークだ。

映像が素晴らしい立体CGアニメ「ベクシル?2077 日本鎖国?」
映像が素晴らしい立体CGアニメ「ベクシル−2077 日本鎖国−」


21世紀初頭、日本ではバイオ・テクノロジーとロボット産業が急速に発展を遂げる。おかげで延命治療の技術も格段に進歩した。日本はそれらの分野で世界の市場を席巻する。

ところが生命倫理や安全性に問題があるとして、諸外国はこれらの技術の規制強化のための国際協定を結ぶ。協定に反発する日本は自国の産業の保護・発展のため独自路線を取り、2067年、ハイテク技術を駆使して鎖国を始める。

それから10年、闇につつまれた日本の内情を探ろうと米国特殊部隊が潜入作戦をスタート。隊長レオン(声・谷原章介)、謎の日本人マリア(声・松雪泰子)、そして女性兵士ベクシル(声・黒木メイサ)が作戦に着手するのだが…。

実写と立体CGアニメを融合したようなリアルで迫力ある映像に目を奪われる。戦闘場面の力強さやスピード感は特筆もの。登場人物の表情も情感をしっかりと伝えてくる。CGの可能性を感じさせてくれた「ターミネーター」(84年)や「ロボコップ」(87年)と比べると隔世の感がある。

最近のハリウッドでめだっている動物などが主人公の立体CGアニメに比べても、映像の繊細さは際立つ。これが2作目の監督作となる曽利は「タイタニック」(97年)にCGアニメーターとして参加した経歴を持つ世界でもトップクラスの映像クリエイターだから、それも納得だ。

多くの説明が必要な物語や、メリハリに乏しい一部の声優陣の演技など惜しい面もあるが、映像の素晴らしさが難点を忘れさせくれる。「テクノロジーの進歩が人間同士のつながりを絶つのでは」という監督の問題意識が、作品の持つ世界観を強固なものにしている。世界75カ国で公開が決定している。

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