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主役は女優、スカーレット・ヨハンソン
映画「タロットカード殺人事件」W・アレンの小粋な佳作
    東京朝刊 by 岡田敏一
急逝した敏腕新聞記者が手品のイリュージョンの現場に幽霊となって現れ、記者志望の女子大生に連続殺人事件の犯人を告げる−。名匠ウディ・アレン監督の最新作「タロットカード殺人事件」(10月27日公開)は、当人が監督・脚本に加え出演もこなし、スクリーンで大活躍する質の高いミステリー風コメディー。いかにもアレンとうならせる小粋なセンスとユーモアで映画好きを満足させる逸品だ。

ユーモアにあふれたミステリー風コメディー「タロットカード殺人事件」
ユーモアにあふれたミステリー風コメディー「タロットカード殺人事件」

舞台はロンドン。急逝した敏腕記者のジョーが三途(さんず)の川を船で横断中、別の乗船者の女性から、ロンドンを震撼(しんかん)させている“タロット連続殺人事件”の犯人が、若き貴族ピーター(ヒュー・ジャックマン)だと聞かされる。

彼女はピーターの元秘書で彼の秘密を知って毒殺されたのだ。記者魂に火が付いたジョーは三途の川に飛び込み現世に。手品師(アレン)が箱に入った人間を消すイリュージョンの真っ最中、箱の中にいたボランティアの観客、サンドラ(スカーレット・ヨハンソン)の目前に現れ真相を告げる。記者志望の勝ち気な米国人女子大生である彼女は、手品師とタッグを組んで取材を開始するのだが、金持ちでハンサムなピーターに一目ぼれ…。

「マッチポイント」(2005年)に続き再びヨハンソンを抜擢(ばってき)した2本目の英国製作作品になる。監督デビューの1966年以来、ほぼ年1作のペースで作品を発表し続けるアレンは、ハリウッドと距離を置き、出身地ニューヨークにこだわる頑固さで知られるが、2001年の米中枢同時テロ以降、ニューヨークへの愛着はかなり失せたようだ。

舞台を英に移しても、鮮やかなタッチは変わらない。米国とは逆になる左車線の道路をドライブした際に感じる新鮮な驚きをしっかりネタにするところなどは「さすが!」と思わせる。

「ブロードウェイのダニー・ローズ」(84年)や「カイロの紫のバラ」(85年)ほどとは言わないが、最近のアレン作品では出色の出来。原題の「SCOOP(スクープ=特ダネ)」の方が内容を的確に表している。

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