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映画「チャーリーとパパの飛行機」
父の魂、飛行機になって 生と死、さりげなく描く
    東京朝刊 by 岡田敏一
カンヌやベネチアなど世界の主要な映画祭で存在感を発揮した仏のセドリック・カーン監督が脚本も兼ねた仏のSFファンタジー「チャーリーとパパの飛行機」(9月1日公開)は、人間の闇の部分を描くこれまでのやや陰鬱(いんうつ)な作風とはうって変わり、子供のような純粋な気持ちを持ち続けることの大切さを訴える感動作だ。

模型飛行機はパパの魂が乗り移ったように動き出す
模型飛行機はパパの魂が乗り移ったように動き出す

主人公でやんちゃ盛りの男の子、チャーリー(ロメオ・ボツァリス)は、クリスマスにパパ(ヴァンサン・ランドン)から手作りの真っ白な模型飛行機をプレゼントされる。

そのパパが不慮の事故で亡くなる。それを機に模型飛行機はパパの魂が乗り移ったように動き出す。当惑するママ(イザベル・カレ)。軍の名パイロットで技術者だったパパの同僚、グザビエ(ニコラ・ブリアンソン)は模型飛行機を軍の研究所に持ち帰り、分析するのだが、怪奇現象は収まらず謎は深まるばかり…。

原作は、ベルギーで1991年から続いている人気漫画シリーズ「チャーリー」だが、主人公が亡くなった父親と宇宙船のおもちゃを介して会話するという部分だけを借用。謎解きについては、映画を見た人の想像力に委ねるという手法をとった。

無駄な背景説明や過剰な演出はなく、淡々と物語は進む。最大の見せ場であるチャーリーが模型飛行機にしがみついてパリの夜空を遊覧飛行する場面は「E.T.」(82年)を彷彿とさせる疾走感と迫力だ。

チャーリー役のボツァリス君とママ役のカレの自然な演技がいい。チャーリー役の選定は難航を極めたそうだが、撮影の1カ月前に全くの素人だったボツァリス君に白羽の矢が立った。下校中に突然スカウトされたらしい。

肉体が滅んでも魂は飛翔(ひしょう)し続ける。模型飛行機は幼いチャーリーにそのことを教える。生と死についてさりげなく考えさせてくれる物語だ。ボツァリス君は撮影の最終日、映画で使った飛行機のひとつをプレゼントされたが「今も寝ているときに飛行機が勝手に動き出す夢を見る」そうだ。

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