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膨大な髪の毛が迫る
ホラー映画「エクステ」栗山千明、大杉漣が好演
   東京朝刊 by 岡田敏一
美容院などで使う付け毛、エクステ(ヘア・エクステンションの略称)に怨念(おんねん)が宿り、人間を襲うホラー映画が17日封切られる「エクステ」(監督・脚本、園子温)だ。大画面で迫ってくる膨大な量の髪の毛に度肝を抜かれる異色作品。海外で多くの賞を受賞した園監督らしい新感覚のジャパニーズ・ホラーに仕上がっている。

ホラー映画「エクステ」

美容師の卵の優子(栗山千明)はダンサー志望の女友達2人と同居しているが、彼女が働く美容室に怪しい男、山崎(大杉漣)がエクステを売りにくる。警察の死体安置所に勤めている山崎は髪の毛マニアでもあり、死後も美しい髪が生え続ける死体から採取した髪の毛でエクステを作り続け、それを売り歩いているのだ。

そんな彼が売ったエクステを付けた女性が次々と怪死する。警察の捜査でも死因は分からない。山崎は優子の髪にも興味を持ち始め、優子にも髪の毛の呪(のろ)いがふりかかる。その呪いの主は、海外で誘拐されたうえ、臓器を奪われて死んだ臓器売買組織の被害者の若い女性だった…。

古くは四谷怪談の「お岩さん」、最近なら「リング」の貞子のように、長い黒髪はホラー映画の重要なアイテムのひとつとなっている。そういう意味では、ちょっぴり陰鬱(いんうつ)な雰囲気で美しく長い黒髪を持つ栗山の起用はまさに成功している。

髪の毛が生きているかのごとく暴れまわる様子や、女性の目や舌からどんどん毛が生え、最後はその毛が大蛇のようにのたうち回って女性を殺してしまうなど、特殊撮影を駆使したシーンは相当グロテスクだ。それに負けない大杉の壊れっぷりもなかなのものだ。

園は集団自殺を題材にした「自殺サークル」(2002年)など衝撃的な作品を次々と発表し、海外でも注目を浴びてきた異才。本作は過去の作品群と比べるとやや切れ味が鈍い気もするが、だれにもまねのできない視点は健在だ。

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