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温暖化テーマ 受賞者もエコカー
アカデミー賞 主役は「環境問題」
   東京朝刊 
【ロサンゼルス=松尾理也】「われわれには地球温暖化を解決する義務がある」と語りかけるアル・ゴア前副大統領、深くうなずく観客ら−。25日、行われた米映画の祭典、アカデミー賞の授賞式は、ハリウッドの民主党寄りの政治風土も手伝い、さまざまな形で環境問題への言及が目立った。

ゴア氏が地球温暖化防止への取り組みを訴えるドキュメンタリー映画「不都合な真実」(デイビス・グッゲンハイム監督)は、長編ドキュメンタリー賞と主題歌賞を受賞。監督とともに授賞式の壇上に登ったゴア氏が、「地球温暖化は政治問題ではなく、倫理の問題だ」と訴えた。

さらに、主題歌を歌ったメリッサ・エスリッジさんが、「地球のことを心配するのは共和党であろうと民主党であろうと一緒だとゴア氏は気付かせてくれた」と述べると、会場から大きな拍手がわき起こった。

ただし、「政治問題ではない」とゴア氏が強調するのは、実際には環境問題が極めて党派的な問題であり続けていることの裏返しでもある。2000年の大統領選で接戦を演じた相手のブッシュ現大統領は、就任後京都議定書から離脱。「不都合な真実」に対しても、根強い反発が保守層に残り、米国では一部で上映反対の動きなども起きている。

しかし、リベラル層が大半を占めるハリウッドでは、ゴア氏の主張にまゆをひそめる向きはほとんど見られず、逆に、受賞インタビューで、本人が何度も否定している次期大統領選への出馬を期待する質問すら飛び出すほどだった。

こうしたゴア氏への熱烈な反応と同様、この日の授賞式では、スターたちが、黒塗りのリムジンで会場に乗り付けるのが通例のところ、ハイブリッド車やバイオディーゼル車を選ぶなど、「環境」が一種のファッションとして流行している様子が浮き彫りとなった。

今回「エコカー」を選んだのは、ゴア氏のほか、レオナルド・ディカプリオさんやフォレスト・ウィテカーさん、ペネロペ・クルスさん、ニコール・キッドマンさんら10人以上に上る。

ゴルバチョフ元ソ連大統領が主催する環境保護団体の米支部グローバル・グリーンUSAは、環境問題を訴える絶好の機会としてアカデミー賞をとらえ、ハイブリッド車や電気自動車などの貸し出しを実施した。

さらに、ロイター通信によると、この日の授賞式自体も、再生紙を使用したり、エネルギー効率診断の仕組みを導入したりするなど環境を重視した。こうした姿勢を、ゴア氏とディカプリオさんは、「アカデミー賞はグリーンになった」とたたえた。

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