産経Webへ戻る
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | 産経Web
原作は安野モヨコの人気漫画
「さくらん」極彩色でロックな遊郭
   東京朝刊 by 岡田敏一
演出家、蜷川幸雄の長女で写真家の実花が初めて映画監督を務めた「さくらん」が公開中だ。安野モヨコの人気漫画の映画化だが、主人公の花魁(おいらん)、きよ葉を演じるのはモデル兼ロック歌手の土屋アンナ、音楽監督は人気女性ロック歌手の椎名林檎とあって、極彩色でテンポの良いユニークな作品に仕上がった。先月のベルリン国際映画祭の特別招待作品に選ばれるなど、海外でも評価は高い。

映画「さくらん」

舞台は、江戸時代のきらびやかな吉原遊郭。玉菊屋に連れてこられた8歳のきよ葉は、厳しい罰を何度受けても大暴れして脱走を試みる。そんな彼女の面倒を見ることになったのは、気品と美しさと知性を兼ね備えた高級花魁、粧(しょう)ひ(菅野美穂)だった。

粧ひは、男の心を自由自在に操り、金持ちの旦那(だんな)に身請けされて吉原を後にする。その姿にあこがれたきよ葉は、吉原一の花魁をめざすことを心に誓う。17歳になったきよ葉は「10年に1人の天女」と呼ばれるほどの有名な花魁に成長したが、玉菊屋にやってきたうぶな青年、惣次郎(成宮寛貴)と恋に落ちる…。

赤、青、緑などの原色をベースに、あらゆる色がむき出しで迫り来る様(さま)は圧巻。非日常の象徴ともいうべき遊郭の世界を、こうした極彩色で表現し、独自の味わいを醸し出す。

作品の根底に流れるロック的な雰囲気に、土屋のべらんめえ調のせりふもぴったり。挑戦的な映像と、女性ならではの凄惨(せいさん)で激しい争いが相まって、濃密な空間を作り上げている。

産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
2007(C)SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです

淀川長治の銀幕旅行