産経Webへ戻る
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | 産経Web
白人が描き、過ちを知る
「ルワンダの涙」公開 弱さ、醜さ…容赦なく 
1月30日(火) 東京朝刊 by 桑原聡
「20世紀最大の悲劇」ともいわれるルワンダ大虐殺を描いた映画「ルワンダの涙」(マイケル・ケイトン=ジョーンズ監督)の公開が始まった。事実に基づいて、人間の弱さと醜さ、白人の身勝手さを容赦なく描き出す衝撃のドラマである。

映画「ルワンダの涙」
映画「ルワンダの涙」(C)BBC,UK Film Council and Egoli Tossell 2005

悲劇は1994年4月に始まった。人口の85%を占めるフツ族が100日間で、ツチ族と穏健派のフツ族合わせて100万人を殺害したとされる。大虐殺を取材したBBC記者、デヴィッド・ベルトン氏の体験を原案に、現地で製作された。

ルワンダの首都キガリにある公立技術専門学校。校長を務めるのは、白人のクリストファー神父(ジョン・ハート)。英国から赴任した英語教師、ジョー・コナー(ヒュー・ダンシー)は生徒の信頼を集めていた。フツ族とツチ族の抗争が続く中、フツ族出身の大統領の乗った飛行機が墜落し、大虐殺が始まる。学校には多数のツチ族が避難し、クリストファー神父とジョーは彼らを助けようとするが…。

映画の撮影には、ルワンダ人がスタッフやエキストラとして多数参加。中には大虐殺を生き延びた若者たちもいた。彼らは自分たちの体験が再現されることに精神的に苦しみながらも撮影に協力。その姿に白人スタッフらは涙を隠せなかったという。

ベルトン氏は「私は、この事件を絶対に白人の目から描くべきだと思っていた。それは激しい苦痛を伴うものであったが、自分たちが犯した失敗をそのまま描くことが、(神父ら)勇気ある人々に報いる唯一の方法だと思ったからだ」とコメントしている。

「ルワンダの涙」は東京・六本木のTOHOシネマズ六本木ヒルズなどで公開中。

産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
2007(C)SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです

淀川長治の銀幕旅行