アナログ感覚が隠し味
映画「300」ザック・スナイダー監督に聞く
東京朝刊 by 岡田敏一
わずか300人のスパルタ兵と100万人のペルシア軍が繰り広げる戦いを題材にした米アクション映画「300〈スリーハンドレッド〉」(公開中)が日米で異例のヒットを記録中だ。監督・脚本担当のザック・スナイダーは「さまざまな娯楽メディアの要素にアナログ感覚を加味したことがヒットにつながったのでは」と分析する。
 |
映画「300」 |
 |
ザック・スナイダー監督 |
映画「シン・シティ」で知られるフランク・ミラーのグラフィック・ノベルが原作。有名スターがひとりも出演していないのに、米国では今年公開のハリウッド映画の興収ランクで4位に。「アニメオタク向けの作品だと思っていたのに、まさかこんな大ヒットになるとは…。口コミで人気が出たらしいんだ。3回も5回見たというティーンエージャーも多いよ」と監督自身も驚いた様子だ。
実際に俳優が出演しているが、ロケは一切なし。全編CG(コンピューター・グラフィック)で作られた。「原作を忠実に再現するためには、アニメと実写とビデオゲームの要素を境目なく融合する必要があった。生身の俳優の演技を撮影しておいて、それをデジタル処理専門のアーティストに渡すんだけど、処理作業に関して僕の頭の中にある美意識を伝えるのに苦労した」と話す。
最新技術を駆使した映画なのだが、撮影はデジタルではない。「この作品、実はフィルム撮影なんだよ。もともとテレビCMの撮影カメラマンだったから、ナチュラル(自然)でオーガニック(有機的)なフィルムにこだわりがあるんだ」。そんなアナログ感覚も、ヒットした理由のひとつかもしれない。
産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
2007(C)SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.