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10代の若者に「自分の尺度を」
フジテレビ短編映画「きっかけは〜」話題に 
    東京朝刊 by 安藤明子
フジテレビが平成14年から展開している局キャンペーン「きっかけは、フジテレビ。」が『HAVE YOUR MEASURE』をテーマに、2本のショートムービーを制作した。ティーンエージャーの日常に焦点を当てた、完成度の高い短編映画で、配信中のホームページが注目を集めている。

主役の高校生を演じる真山明大(右)と谷村美月
主役の高校生を演じる真山明大(右)と谷村美月

1本目の「Identity」は父親(西岡徳馬)のある提言を機に“自分の幸せ”のために進路を選ぶ決意をする高3男子・悠(真山明大(あきひろ))の話。もう一つの「metamorphosis」は携帯電話をトイレに落とし、使用不可能になったことで“新しい自分”に気づく悠の1学年下の女友達・里香(谷村美月(みつき))が主人公だ。共通する主題歌は20年前、斉藤由貴が自らの作詞で歌った「家族の食卓」。その斉藤は保健室の先生として両ラストシーンに出演するほか、テーマにあわせた自作の詩を朗読する。

斉藤由貴
斉藤由貴
両作品とも、脚本は映画「プルコギ」の具光然、監督は「13階段」「ココニイルコト」などの長澤雅彦。テレビ局のキャンペーンとは思えないほど本格的な短編映画を企画したのは、広告宣伝部プロデューサーの川植浩治だ。

川植は斉藤の歌「家族の食卓」が好きで、「家族の食卓こそが教育の原点だと思う」と主題歌にした理由を説明。そのうえで「コンピューターが何でもやってくれるIT社会の中で、いまの10代は自分の尺度で物を見るということが少なくなり、考える能力も退化している。自分のことだけしか見えない結果が、家族の崩壊や学校のいじめにつながっている気がするので、メディアとして警鐘を鳴らすようなことができないかと常々思っていた」と話す。

一作品が40分という長尺のため地上波放送はしてないが、「地上波離れしている若者が見たいときに見られるホームページにした。いずれ地上波でも流せたらいいなと思ってます」と川植。その狙い通り、10代からは「今まで自分の幸せの定義がなかった」「進路の決心が変わりそう」「直筆の手紙の温もりを感じた」といったアクセスが続々。また彼らの親の世代からのアクセスも多く「親として子供にどこまで言えるだろうか」などの書き込みが目立つという。作品はDVD化、ノベライズ化の話も進んでいる。なかなかの力作、一見をお薦めしたい。

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