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映画「フリーダム・ライターズ」
教育者必見の感動作!
    東京朝刊 by 岡田敏一
1人の女性教師が生徒たちに与えたノートが荒廃した学校に奇跡を起こす−。21日公開の米映画「フリーダム・ライターズ」(監督・脚本、リチャード・ラグラヴェネーズ)はにわかには信じ難い実話の映画化だ。教師の熱意があればどんな生徒の心でも動かせる。教育に携わる人にぜひ見てほしい感動作だ。

実話をもとにした「フリーダム・ライターズ」は、オスカー女優ヒラリー・スワンクの演技が光る
実話をもとにした「フリーダム・ライターズ」は、オスカー女優ヒラリー・スワンクの演技が光る

舞台は米ロサンゼルス郊外ロングビーチのウィルソン高校。ロス暴動の2年後の1994年秋、白人の新任国語教師のエリン・グルーウェル(ヒラリー・スワンク)が赴任する。

激しい人種差別と貧困がはびこる絶望的な教育現場。白人、黒人、ヒスパニック(中南米)系、アジア系が徒党を組んで憎み合う。勉強どころではないクラスで、グルーウェルは生徒全員に自費で日記帳を配る。「何でもいいから自分の思いを毎日、書いてほしい。私に読んでほしい時は棚に入れておいて」。

最初は馬鹿(ばか)にする生徒たちだったが、徐々に日記を書き始める。両親から見放されて疎外感を募らせるもの、家庭内暴力に悩むもの…。心の内をさらけ出す生徒たちと教師は悩みを共有し、互いの理解を深め、手を取り合うようになる。

グルーウェルがこれらの経緯をまとめ、出版した「フリーダム・ライターズ」(99年)は全米で大ベストセラーとなった。本作はこの本の映画化。事実の重みに勝るものはない。製作総指揮も務めるオスカー女優、スワンクの誠実な演技が光る。

日本の教育現場が荒れているとはいっても、米国のように貧困や差別から命の危険にまでさらされるようなケースはほとんどないだろう。何か感じてもらえることがあるはずだ。

「フリーダム・ライターズ」とは、1961年、米で人種差別撤廃を求める戦いに身を投じ、長距離バスで移動した白人と黒人の学生たち「フリーダム・ライダーズ」をもじった言葉。37歳のグルーウェルは現在、自身の教育哲学を広めるための「フリーダム・ライターズ基金」の代表を務めている。

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