産経Webへ戻る
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | 産経Web
TBS「『砂の器』超えたい」
ドラマ「私は貝になりたい」中居正広主演で映画化
    東京朝刊 by 安藤明子
テレビ史に輝く傑作ドラマ「私は貝になりたい」を、TBSが約半世紀ぶりに映画化する。戦犯を扱った脚本を、今年89歳になる橋本忍が新たに書き直し、主人公の清水豊松にはSMAPの中居正広を起用。今秋から1年がかりで撮影を行い、来年冬の公開(東宝系)を予定している。

「私は貝になりたい」が制作・放送されたのはテレビ草創期の昭和33年(当時のラジオ東京テレビ、現TBS)。軍隊に召集された理髪店の店主(フランキー堺)が上官から米兵捕虜の殺害を命令され、実際は傷を付けただけだったにもかかわらず、戦後の裁判で戦犯として処刑される…。

戦争の持つ恐怖を浮き彫りにしたストーリーは大反響を呼び、その年の芸術祭テレビ部門大賞を受賞。喜劇俳優だったフランキーはこの作品で演技派俳優へと飛躍し、また“電気紙芝居”と揶揄(やゆ)されてきたテレビの評価を高めるきっかけにもなった。

だが翌年、橋本自らの監督でフランキーが主演した映画はテレビほどの反響はなく、平成6年、TBSが所ジョージ主演で放送したリメーク版の評判もいま一つだった。それをなぜ今また映画化するのか。

「戦争という不幸な歴史は繰り返され、激しさを増している。今の時代だからこそ、平凡な市民に焦点を当てることで戦争の恐ろしさ、むなしさを深く切実に訴えかけているこの作品をよみがえらせる意義は大きい」と話すのは映画の演出に当たるTBS・福澤克雄ディレクターだ。

福澤は木村拓哉主演の1月期ドラマ「華麗なる一族」でのスケール感あふれる演出が記憶に新しいが、平成15年には明石家さんま主演のスペシャルドラマ「さとうきび畑の唄」で芸術祭テレビ部門大賞を受賞。16年には中居主演の「砂の器」と、多くの話題作を手がけている同局のエースディレクター。「砂の器」の放送後、瀬戸口克陽プロデューサーらとの話の中で、「今度は中居さんで“砂”を超える映画を作りたい」という構想が浮上したのが、「私は貝になりたい」誕生のいきさつだ。

脚本の橋本も「50年前は映画・ドラマの撮影技術が限られていてスタジオが多かった。今度の映画ではロケを多用したい」と書き直しを快諾。四季折々の風景を背景に物語が進行することになる。

中居の映画出演は14年公開の「模倣犯」以来。「大きな歴史のある作品に参加できてうれしい。プレッシャーもあるが、スタッフの胸をお借りして気負わずに頑張りたい」とコメントを寄せている。

産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
2007(C)SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです










淀川長治の銀幕旅行

日本映画Navi