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臨死めざして珍道中
映画「図鑑に載ってない虫」監督、三木聡に聞く
    東京朝刊 by 岡田敏一
とぼけたイケメンと長髪のヒッピーという凸凹コンビが自殺願望のあるSM嬢を引き連れ、人間を一時的に仮死状態にする“死にモドキ”を探す旅に出る−。そんな珍道中を描く脱力系コメディー映画「図鑑に載ってない虫」(23日公開)。監督・脚本は映画「イン・ザ・プール」や深夜ドラマ「時効警察」を手がけた“脱力系の帝王”三木聡。「昭和のゆるりとした余裕が感じられるロードムービーをめざしました」とトボけてみせる。

三木聡氏(撮影・瀧誠四郎)
三木聡氏(撮影・瀧誠四郎)

奇妙な物語だ。「月刊黒い本」の美人編集長(水野美紀)が、主人公でフリーライターの俺(伊勢谷友介)に仮死体験できるとウワサの“死にモドキ”を実際に試し、死後の世界をルポするよう依頼する。

渋々、相棒でアルコール依存症のオルゴール職人、エンドー(松尾スズキ)と探しに出かけ、リストカットマニアのSM嬢サヨコ(菊地凛子)と出会い、仲間に引き入れる。ある日、臨死体験ショーなるものが定期的に開催されているとの情報をキャッチ。“死にモドキ”を探す謎の組織の存在も明らかに…。

3人組の珍道中を描く脱力系コメディー映画だ
3人組の珍道中を描く脱力系コメディー映画だ

「昭和テイストの男2人の旅を描きたい」と考えた最初の企画が何と「仕事の前にシンナーを吸うな」というタイトルの作品。「映画会社から倫理的に良くないってダメ出しを食らいまして(笑)」

その後「たまたま本を読んでいて、脳下垂体から出る特殊な物質が臨死体験を引き起こすという内容からヒントを得て」本作が誕生したという。

三木はもともと「ダウンタウンのごっつええ感じ」や「笑う犬の生活」といったコント中心のお笑い番組の構成作家。コント仕立てのネタをせりふ中心の脱力系ギャグでつないでいく手法は十八番(おはこ)といえるが、この手法をドラマや映画で堂々と使った人はいなかった。彼の作品がもてはやされる所以(ゆえん)である。

そのうえ強運だ。「菊地さんがオスカー候補になるとはねえ…。ハリウッドから帰ってきて最初の仕事がこの映画のお笑い場面の撮影ですよ(笑)」。とはいえ「カメラが回ったときの線の太さや揺るぎなさはまさにスター」と感心したという。「バベル」とは全く違う菊地の“不思議ちゃん系演技”も見どころだ。

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