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原点の地フランスで撮影
映画「不完全なふたり」 諏訪敦彦監督に聞く 
    東京朝刊 by 堀晃和
「フランスはぼくの映画のふるさと」と語る諏訪敦彦監督
「フランスはぼくの映画のふるさと」と語る諏訪敦彦監督
諏訪敦彦(のぶひろ)監督(47)の話題作「不完全なふたり」が30日から東京都内で上映される。2005年にスイス・ロカルノ国際映画祭で審査員特別賞と国際芸術映画評論連盟賞に輝いた作品だ。諏訪監督は1999年に「M/OTHER」でカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞。今作も男女の関係をじっくり描く姿勢や即興的な演出に変わりはないが、学生時代にフランス映画に傾倒した監督が、パリのオールロケで完成させた。

諏訪監督は5年前に1年間、パリで暮らした経験がある。「そこで出会った映画人たちと一緒に撮ろうよという話になって、一番手近な場所がパリだったんです」。日本人監督がフランスで現地スタッフと撮り上げた例は「マックス、モン・アムール」(86年)の大島渚監督以来という。

「不完全なふたり」はニコラ(ブリュノ・トデスキーニ)とマリー(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)という離婚を決意した夫婦の物語。友人の結婚式に出席するため訪れたパリを舞台に、2人の微妙な心の揺れが描かれている。

諏訪演出の特徴は、脚本がほとんど用意されていないこと。「書き込まれた完成台本は使っていない。撮るまではぼくも俳優もどういうセリフが出てくるかわからないんです」

今回の作品も当初はA4判の紙に2〜3枚程度のプロットがあっただけ。そこから俳優と打ち合わせをしながら練り上げ、最終的には30枚ほどにはなったが、セリフはほとんど書かれていなかった。即興演出の理由がここにある。

「セリフはフランス語だから、会話の内容はほとんど分からないが、困らなかった。映画は映像で伝えているから。むしろ意味が分からない分、背後の感情とかがダイレクトに伝わってきた」

2004年に行われた撮影は、わずか11日間で終了。昨年フランスで公開され、「ルモンド」や「カイエ・デュ・シネマ」などで絶賛された。

「それほどパリでのロケということに感慨はなかったんです。ただ、フランスはぼくの映画のふるさと。振り返ると、やはり特別なことだったと思います」

映画は東京・新宿武蔵野館を皮切りに全国で順次公開される。

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