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米アカデミー賞長編アニメ賞受賞
3Dアニメ「ハッピーフィート」踊るリアルなペンギン
  東京朝刊 by 岡田敏一
ペンギンたちが歌って踊る3Dアニメ「ハッピーフィート」(17日公開)。こう書くとありふれた子供向け作品のようだが、作品からは地球温暖化防止といった環境保護のメッセージも伝わってくる。監督などを担当したジョージ・ミラーは「ペンギン、南極とくれば地球温暖化防止のメッセージがないのは不自然」と笑う。時代の流れをとらえたことが、米アカデミー賞長編アニメ賞受賞につながった。

映画「ハッピーフィート」
映画「ハッピーフィート」

南極の皇帝ペンギン、マンブルは超オンチ。歌がうまいことを最も尊ぶ皇帝ペンギン界では、もちろん落ちこぼれだ。ところが、偶然流れ着いたアデリーペンギンの5人組「アミーゴス」が、マンブルのタップダンスの才能を絶賛。得意になるマンブルだが、「秩序を乱した」と追放される。

マンブル君は「アミーゴス」のリーダー、ラモンや、彼らが畏敬(いけい)するイワトビペンギン、ラブレイスらとともに旅を続けるうち、自分たちの生活を脅かす「エイリアン」の存在に気付く。

ペンギンが題材のアニメを思い立ったのは8年前。「英BBCなどが共同制作した皇帝ペンギンのドキュメンタリー『ライフ・イン・ザ・フリーザー』(1993年)を見て、厳しい環境の中で生活共同体を作って旅することに感動したことと、2本足で立つ姿が人間に似ていると思った」ことがきっかけという。

製作作業は予想以上に大変だった。本物のペンギンに見えるように、体毛をリアルに描く新技術を開発し、約600万本の体毛を画像化した。そして、見事なペンギンのダンスシーンも、「一流ダンサーのダンスの動きをコンピューターに取り込み、ペンギンたちに置き換えた。実写とアニメの滑らかな融合をめざしたんだ」。

クイーンやプリンス、アース・ウインド&ファイアーといった70〜80年代のヒット曲をふんだんに使った音楽も楽しい。「動物ミュージカル? まあその要素もあるけれど、この作品は、アクション、冒険、環境保護といったさまざまな要素が混在しており、特定のジャンルに分類はできないと思う」と説明する。

とはいえ、環境保護の要素はかなり前面に出ている。今年のアカデミー賞長編アニメ賞の前評判では、米国のモータリゼーションの象徴だった大動脈ルート66が舞台で車が主役の「カーズ」が有力視されたが、環境保護を訴えた本作がオスカーに輝くという“大どんでん返し”こそ、今の米国の空気を如実に反映しているといえる。

ただ、環境保護のメッセージは意図したものではないらしい。「民話であれおとぎ話であれ、必ず何らかの教訓が含まれているだろう。それと同じで、ペンギン、南極ときて、地球環境保護のメッセージがなかったら、その方が奇異な印象を受けないか?」

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