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奇怪な人間関係、癖のある主人公…
映画「ブリック」 重厚な学園スリラー
  東京朝刊 by 岡田敏一
最近のハリウッド映画は平凡でつまらないと思っている人に推薦したい作品が4月14日、公開される。レイモンド・チャンドラー風の古典的なハードボイルドの流れをくむ斬新(ざんしん)な学園探偵スリラー「ブリック」。33歳のライアン・ジョンソン監督の長編デビュー作。米国では昨年3月に公開されるやいなや関係者から絶賛され、ジョンソン監督は一躍、ハリウッド期待の新星の座を奪い取った。

映画「ブリック」
映画「ブリック」

南カリフォルニア郊外のサンクレメンテ高校。一匹狼の学生ブレンダン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、ロッカーに挟まっていた謎のメッセージに従い、指定場所に出向く。近くの公衆電話のベルが突然鳴り、受話器を取ると、元恋人エミリー(エミリー・デ・レイヴィン)が悲壮な声で「私、とんでもないヘマをしたの…」。

エミリーの行方を追うブレンダン。彼女の交友関係をたどり、エミリーを見つけるのだが、彼女は「私を忘れて」と言い残して姿を消す。翌朝、エミリーは水死体で見つかる。親友ブレイン(マット・オリアリー)と真相究明に乗り出すブレンダンは、学園内の麻薬密売組織にたどり着く…。

ひと癖ある登場人物たち。そして奇怪で複雑な人間関係、といえば鬼才デヴィッド・リンチ監督の傑作テレビドラマ「ツイン・ピークス」(1990〜91年)を彷彿(ほうふつ)させるが、作風はオーソドックスかつ重厚。巧みなカメラワーク、無駄のない表現様式は新人とは思えない。無味乾燥で焼け付くようなカリフォルニア郊外の風景が、独特の味わいを付加している。ちなみに、ブリック(レンガ)は隠語で「麻薬の塊」という意味である。

昨年公開された米国では、「(昨年前半の公開作の中で)最もエンターテインメント性のあるノワール映画」(ニューヨーカー誌)、「南カリフォルニアの高校生たちが1930年代のハメットやチャンドラーの犯罪小説のように話し、行動する」(ローリング・ストーン誌)と絶賛された。

当時ロサンゼルス勤務だったが、ハリウッドの著名な映画館アークライト・シネマが、同じ日に公開されたハリウッド大作より、この作品を大々的にPRしていたことを今も覚えている。

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