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映画館、「目をそらして」
「バベル」で体調崩す 点滅シーンに7人吐き気
  東京朝刊 
映画「バベル」を上映している名古屋市と三重県四日市市の映画館で、28日の公開以降観客7人が吐き気などの体調不良を訴えていたことが30日、分かった。いずれも症状は軽く、館内で休んだ後に自力で帰ったという。このうち、名古屋市の「ミッドランドスクエアシネマ」は、点滅を繰り返すシーンで注意するよう呼び掛ける文書を配布している。

映画では、開始から約1時間20分後に菊地凛子さんが演じる高校生がクラブで踊る場面で、クラブの照明が1分程度、速い点滅を繰り返す。同館が配布した文書は「このシーンになりましたら、スクリーンから適度に目をそらされるか、直視し続けないことをお薦めします」としている。

同館では28日に女性5人、29日には男性1人が体調不良を訴えた。配給会社に問い合わせたところ、「対応は劇場に任せる」との返答があったといい、同館は29日から上映前に文書の配布を始めた。

また、四日市市の「109シネマズ四日市」でも28日、夫婦で見に来ていた年配の女性が上映中に体調不良を訴えた。

バベルは、菊地さんが米アカデミー賞助演女優賞にノミネートされるなど話題を呼んでいた。

十分な検証必要
埼玉医大学長で名誉教授、山内俊雄氏(精神医学)の話 「私自身、『バベル』は見ていないが、まず気分を悪くしたのが同じ映像、同じ時間か。さらに発症者は光に敏感な14歳以下の子供なのか、スクリーンに近い観客席に集中しているのかについて検証する必要がある。仮にそうであれば、映像と体調不良との関係が高いと推測され、『ポケモン・ショック』のような光刺激による健康被害といえるだろう。映画館や配給元は文書配布だけでなく、もう少し踏み込んだ対応をしてほしい」

10年前にはポケモン・ショック
平成9年12月には、人気アニメ番組「ポケットモンスター」(テレビ東京系列)を見ていた全国の子供たちが相次いで吐き気や発作など体調不良を訴えたトラブルが発生している。約750人が病院に救急搬送され、関連番組の放映自粛など騒ぎは拡大し、「ポケモンショック」と呼ばれた。

激しい光による映像表現と光の刺激を受け発作などを引き起こす「光感受性発作」との因果関係が指摘されたが、厚生省(当時)の研究班は事故後、番組のクライマックスで約4秒間流れた赤色と青色が周期的に続く「光の点滅」が原因と断定した。

このトラブルを契機に、NHKと日本民間放送連盟(民放連)は光の点滅などを規定したガイドラインを策定。「テレビを見るときは部屋を明るくし、離れて見ましょう」などとするテロップが流されるようになるなど、アニメ番組づくりにも影響を及ぼした。

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