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犬童一心監督 
映画「眉山」生と死、母娘の葛藤 阿波おどりが“浄化”
  大阪夕刊 by 福本剛
シンガー・ソングライター、さだまさしの小説を映画化した「眉山」。眉山を望む徳島を舞台に、母娘の思いが阿波おどりのうねりの中、とけ合っていくのが美しい。母娘役の宮本信子、松嶋菜々子とともに会見した犬童一心監督は「母娘の関係が、音や踊りの大きな世界の中で“浄化”されていくさまを表した」と話す。(福本剛)

「阿波踊りの熱気に驚いた」などと語る(右から)犬童一心監督、松嶋菜々子、宮本信子
「阿波踊りの熱気に驚いた」などと語る(右から)犬童一心監督、松嶋菜々子、宮本信子

東京で働く咲子(松嶋)は、徳島で暮らす母、龍子(宮本)の入院を知り、久しぶりに帰郷する。勝ち気なままの母を見て、寂しさと反発を感じる咲子。だが母の病状は末期がんとわかり、医師(大沢たかお)らと看病を続ける中、咲子は会ったことのない父が生きていることを知り…。

母とのわだかまりを抱えた娘が、母の秘められた恋、自分への深い愛情に気付き、新たな一歩を踏み出す同作品。そのクライマックスに登場するのが阿波おどり。死を意識する母娘と、熱気に包まれた街の描写が交錯していくのが印象的だ。「人が死を迎えるとき、生き生きしている人たちとすれ違っていく。そういう“動き”を阿波おどりで演出した」と犬童。

(C)2007「眉山」製作委員会
(C)2007「眉山」製作委員会

昨年8月の実景も交えた踊りのシーンは荘厳そのもの。5台のカメラが街中を走り回り、本物の迫力を余すことなく撮ったといい、再現撮影も含め日本映画史に残る踊りの場面となった。「音楽と踊りはエンターテインメントの一大要素。高揚感、ダイナミズムも与えてくれた」

<母娘役の2人も静かな中にも深い思いをたたえ、犬童の「阿波おどりに飲み込まれない存在感」との期待に応えた。松嶋は「最初は龍子の気持ちのほうが理解できた」としたが、「娘がその場で思ったことをストレートに演じることで、母娘の交わり、絆(きずな)が分かってきた」。宮本も「(龍子が)眉山を好きな人に重ね、娘を1人で育てていく生き方に共感した。いい体験をさせてもらった」と振り返った。

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