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「海と毒薬」など社会派
映画監督の熊井啓氏が死去 
    速報
映画「海と毒薬」や「サンダカン八番娼館・望郷」など数々の社会派作品で知られる映画監督の熊井啓(くまい・けい)氏が23日午前9時51分、くも膜下出血のため東京都内の病院で死去した。76歳。長野県出身。自宅は東京都調布市深大寺東町。葬儀・告別式の日取り、喪主などは未定。

2001年2月、ベルリン国際映画祭で「ベルリナーレ・カメラ」賞を贈られる熊井啓監督(右)=ベルリン市内(共同)

昭和5年生まれ。信州大学卒業後、独立プロの助監督を経て昭和29年に日活入社。39年に自らのオリジナル脚本「帝銀事件・死刑囚」で監督デビューした。同作は実際に起きた毒殺事件を題材にしたドキュメンタリー風の作品。以降、社会的テーマをもとに緻密(ちみつ)な考証を重ねていく手法で数々の野心作を発表した。

石原裕次郎出演の大作「黒部の太陽」を手掛けたあと、44年にフリー。芥川賞作品「忍ぶ川」、からゆきさんの生涯を描いた「サンダカン八番娼館・望郷」、井上靖原作の「天平の甍」、戦後史の謎とされる「日本の熱い日々 謀殺・下山事件」など話題作を発表し、高く評価された。61年には、戦争末期に九州大学で起きた米軍捕虜生体解剖事件を扱った「海と毒薬」を公開。翌年のベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞し、国際的な評価も獲得した。

このあとも精力的にメガホンをとり続け、利休の死の謎を追う「千利休−本覚坊遺文」(ベネチア映画祭銀獅子賞)、遠藤周作のベストセラー「深い河」、松本サリン事件が題材の「日本の黒い夏冤罪」、黒澤明監督の遺稿を映画化した「海は見ていた」などを発表。平成13年には、ベルリン国際映画祭で、特別功労賞にあたる「ベルリナーレ・カメラ賞」を受賞した。同年、勲四等旭日小綬章。

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