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奈良の山間部が舞台
河瀬監督「殯の森」にグランプリ カンヌ映画祭
    速報 
【パリ=山口昌子】フランス南部カンヌで開催されていた第60回カンヌ国際映画祭は27日夜(日本時間28日未明)、最高賞「パルムドール」に次ぐ審査員特別大賞「グランプリ」に日本の河瀬直美監督(38)の「殯(もがり)の森」を選出して閉幕した。邦画の同賞受賞は1990年の小栗康平監督「死の棘」以来。最近のカンヌ映画祭での主要賞受賞は、97年に今村昌平監督の「うなぎ」が最高賞を、2004年に柳楽優弥さんが「誰も知らない」で男優賞を受賞した。河瀬監督は授賞式で「映画を作り続けていてよかった」と喜びを語った。

27日、フランスのカンヌ国際映画祭で審査員特別大賞「グランプリ」を受賞し、報道陣に賞状を見せる河瀬直美監督(共同)
27日、フランスのカンヌ国際映画祭で審査員特別大賞「グランプリ」を受賞し、報道陣に賞状を見せる河瀬直美監督(共同)

「殯の森」は妻と死別後、認知症になりグループホームに住む老人と、子供を亡くしたばかりのグループホームで働く女性が墓参りの途中で森に迷い込む話。監督の養母の介護経験や故郷の奈良市郊外の山里が舞台になっており、単純な物語や自然描写のなかに自らの体験に裏打ちされた人間の深遠な悲しみや存在が描かれている。

奈良市の文筆業、うだしげきさんと女優の尾野真千子さん、渡辺真起子さんらが出演し、主に同市の山間部で撮影した。

河瀬監督は奈良市生まれ。97年、初の劇場用映画「萌の朱雀」でカンヌ国際映画祭の新人賞「カメラドール」を史上最年少で受賞しており、カンヌでは2度目の快挙。04年にも「沙羅双樹」が、主要賞の対象となるコンペティション部門に出品されたが、惜しくも落選した。「殯の森」は劇映画では4本目の作品。

 河瀬監督は受賞あいさつで、「殯の森」が最高賞に届かなかったことについて「残念だという思いもある」と率直に語る半面、「また次のステップにできる賞だと思っている」とも述べて、再び最高賞に挑戦したいとの意思をにじませた。

今回の映画祭には22本が出品されて賞を争った。審査委員長は英国のスティーブン・フリアーズ監督。最高賞はルーマニア人のクリスティアン・ムンジウ監督の「4カ月、3週間と2日」。第60回を記念した特別賞には米国のガス・ヴァン・サント監督の「パラノイド・パーク」が、監督賞には米国のジュリアン・シュナーベル監督の「潜水艦と蝶」が受賞した。

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