米では2004年の1作目以来、毎年ハロウィン(10月31日)の時期に封切られる定番ホラーの第4弾「ソウ4」(ダーレン・リン・バウズマン監督)が17日に公開される。手の込んだ仕掛けで残虐の限りを尽くす連続殺人鬼ジグソウを演じたトビン・ベルは「まさか4作目まで続くとは思わなかったよ。私自身ジグソウから多くを学んでいるからね。今回もラストは衝撃的だ」と語った。
 |
ハロウィン恒例の定番ホラーシリーズ第4弾「ソウ4」 |
廃虚の広い浴室で、互いに面識のない2人の男が足を鎖でつながれている。部屋の中央には血まみれの男の死体が横たわる。足元にはノコギリ(英語ではソウ)や小型のテープレコーダー。再生すると「目の前の男を6時間以内に殺さなければ2人とも生きてここから出られない…」。
豪州の無名の製作者が手がけた低予算ホラーだが、独創的な脚本と、誰もが驚く予想外の結末は米で大評判に。過去3作で累計約248億円を稼いだ。
シリーズの見どころは、何と言っても主人公ジグソウが仕掛ける残虐な罠(わな)。怪しげな拷問器具、注射器、炎…。目を覆いたくなるようなシーンが次々に登場する。
そして本作。ジグソウと彼の弟子アマンダは命を落としたが、ゲームは終わっていなかった。警察の解剖室でジグソウの遺体を解剖する検視医が、何と彼の胃袋から小型のテープレコーダーを見つける。新たなゲームが始まった。被害者は、どこかに監禁中のホフマンと失踪(しっそう)中のエリックの両刑事。警察の特殊部隊SWATのリック隊長が彼らを捜すことになった。制限時間は90分…。
「続編が成功し続けているのは、常に製作中の作品に全力を注いだからだ。続編のことなんか考えてないな」と話すベル。理知的な話し方や、ミステリアスな雰囲気は劇中のジグソウそのものだ。
そもそもジグソウとは、いかなる人物なのか?
「知的で、頭の中のアイデアを非常にユニークな形で実行する人物だな。自身を悪人だと全く考えていないんだ。本当は温かいハートの持ち主で、自身の心の闇の探検家でもあるね。車椅子(いす)に座っていたり、ずっとベッドに寝ていたり…。存在が奇妙だから、奇妙に見えるように演技する必要がないんだよ」
いまや、ハンニバル・シリーズのレクター博士に並ぶキャラになったジグソウ。
「レクター博士がライバル? それはどうかな? ま、アンソニー・ホプキンスが演じたレクター博士は好きだよ。『羊たちの沈黙』で彼が『クラリス』と彼女にささやくときのせりふは、まるで彼女を愛撫(あいぶ)しているようだろ…」
何だか怖くなってきたが、取材の終わりには記者に「ナイス・ワーク!」とご機嫌だった。ジグソウと同様、謎めいた俳優だった。