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米国のサッカー産業の歴史振り返る
映画「ペレを買った男」 王様はノーコメント
2007/11/30 産経新聞    東京朝刊 by 岡田敏一
1970年代中後期の米国で、ペレやベッケンバウアーといったスター選手の大活躍で社会現象を巻き起こしたプロサッカーチーム「ニューヨーク・コスモス」。その栄光と挫折を描くドキュメンタリー映画「ペレを買った男」(ジョン・ダウアー監督、8日公開)は、サッカーを通して米国の社会や文化をも浮き彫りにする。サッカー・ファン以外の人にもおすすめだ。

サッカーを通して米国社会を浮き彫りにするドキュメンタリー「ペレを買った男」

1960年代、米のスポーツ記者は「SOCCER(サッカー)」のつづりを知らなかった−。にわかには信じ難いが、これ、すべて事実なのだ。

50年、ブラジルで開かれたサッカーのワールド・カップで名門、英が米に敗れる番狂わせが起こり、サッカーに注目が集まるが、全く人気が出なかった。

「米国人は根気がない。だから野球もアメリカン・フットボールも小刻みに展開が変わる。でも、サッカーは45分間ぶっ続けで見ないといけない。米では定着する訳がないよ」(関係者)。

そんな米でサッカーを一大ビジネスに育てようとしたのが、巨大メディア・グループ、ワーナー・コミュニケーションズのCEO(最高経営責任者)、スティーブ・ロスだ。彼は北米サッカーリーグ(NASL)の創設から2年後の71年、ニューヨーク・コスモスを発足させる。

大リーグの最高年俸が約2200万円だった75年、3年間で約4億9500万円というケタ外れの契約金でブラジルのスター、ペレを獲得。77年には独のベッケンバウアーもスカウトした。テレビ放映も追い風となり、社会現象を巻き起こすが“サッカー・バブル”はたちまち崩壊。85年にコスモスは解散する…。

ペレの移籍に難色を示したブラジル政府をキッシンジャー元米国務長官が説得したという逸話や“欲しいものは札束で奪い取れ”という生々しさに、企業買収でおなじみの強引な米国型経営スタイルが見て取れる。

エンドロールで米バンド、スティーリー・ダンの「ダーティー・ワーク」が流れる。「汚い仕事はもうたくさん…」と歌われるこの曲にのせて出演者が紹介されるが、ペレの番がくると「コメント拒否」の文字。これには笑えた。

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