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家族愛や子供の心温かく
映画「ブラザーサンタ」 聖人の兄はヒネクレ者
2007/11/30 産経新聞    東京朝刊 by 岡田敏一
クリスマスにプレゼントをくれるサンタクロースに実は性格のゆがんだ出来の悪い兄がいて、彼は人間界でうだつの上がらない日々を送っていた−。12月1日公開の「ブラザーサンタ」(デイビッド・ドブキン監督)は、そんなユニークな設定のハリウッド産コメディーだ。ブラックジョークを随所にまじえながら、家族愛や子供の心を持ち続けることの大切さを教えてくれる。

サンタクロース(ポール・ジアマッティ)=左=の出来の悪い兄フレッド(ビンス・ボーン)=右=が主人公のコメディー「ブラザーサンタ」
サンタクロース(ポール・ジアマッティ)=左=の出来の悪い兄フレッド(ビンス・ボーン)=右=が主人公のコメディー「ブラザーサンタ」

ある日、森に住むクロース一家に大きな男の子が生まれる。産声は「HO HO HO(サンタの有名な笑い声)」。ニコラスと名付けられた彼は品行方正で陽気で大人気。兄のフレッド(ビンス・ボーン)はいつも弟の引き立て役だ。

弟は立派に育ち、北極で聖人サンタクロース(ポール・ジアマッティ)に。一方、いつも弟と比べられ、性格がねじ曲がった兄フレッドは、米シカゴでフーテン暮らし。婦人警官の彼女ワンダ(レイチェル・ワイズ)も愛想を尽かした。

そんなフレッドが、サンタにふんした募金活動がばれ、留置場に。仕方なく北極にいる弟に身元引受人になってもらい、両親や弟が住む北極に行く。条件は弟の仕事のお手伝い。クリスマスを間近に控え、北極ではエルフ(小人)がサンタ経営のプレゼント用玩具生産工場でせっせと働いている。

ところがそこに、工場の生産率アップのため検査官クライド(ケビン・スペイシー)がやってくる。クライドはサンタに積年の恨みを抱いており、狡猾(こうかつ)な陰謀で工場を閉鎖させ、サンタを解雇しようとする…。

毎年、米では11月はじめからクリスマスが題材の映画が増える。本作は今年のクリスマス作品の目玉だが、主演のボーンはきわどいネタで有名なお笑い男優とあって親子連れの受けが悪く、興行収入チャートで初登場1位になれなかった。

「サンタなんてロクなもんじゃないぜ。目立ちたいだけで真っ赤な服着て、トナカイ使って空飛びやがって。裏では自分の像売って大もうけしてやがる」。弟のサンタは出来の悪い兄に無心されても「聖人だから断れないよ…」。こんなせりふ、確かに親が安心して子供にすすめるわけにはいかない?

当のボーンは「フレッドのように女性にとって理想的といえない欠点のある男を演じるのは楽しかったよ。何でも完璧(かんぺき)な男を演じるなんて退屈じゃないか」と笑う。

一方、サンタを演じるジアマッティの演技もすごい。ひげと帽子で顔の大半が隠れたサンタの扮装(ふんそう)だが、目の演技だけで喜怒哀楽を見事に表現する。

「子供ってマジカルなものを信じるだろ?。この映画は子供が愛するマジックにあふれている。僕の中にも子供の部分がたくさんある。そんな世界を創造するのは楽しいと思った」というボーン。確かにその通りだろう。邪悪な検査官がサンタの“マジック”で子供の心を取り戻し、改心する場面は感動的だ。

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