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撮影期間15年間 セイウチの親子、克明にとらえる
映画「北極のナヌー」 自然、愛…不屈の精神
2007/10/05    東京朝刊 by 岡田敏一
マイナス50度という過酷な自然環境で生き抜く北極の白クマの姿に迫るドキュメンタリー「北極のナヌー」(6日公開)は、大自然の力強さをわれわれに見せつける。監督・撮影を担当したアダム・ラヴェッチとサラ・ロバートソンの2人は「彼らの知恵や勇気、不屈の精神には驚くばかり」と振り返る。

北極の厳しい自然環境で懸命に生きる白クマの姿を追うドキュメンタリー
北極の厳しい自然環境で懸命に生きる白クマの姿を追うドキュメンタリー

主人公は、かわいい白クマの子供「ナヌー」とセイウチの子供「シーラ」。穴の中で何も食べず約半年間、ナヌーと母グマは冬が去るのを待ち、春の訪れとともにエサを求めて旅に出る。双子の弟は激しい吹雪の中、力尽きて倒れる。

温暖化のせいで北極の季節の移り変わりが徐々に早くなっているため、ナヌーの独り立ちは予想以上の早さで訪れる。母から狩りの方法も教わっていないナヌーには数々の試練が待っていた…。

綿密な取材と、ハイグレードな写真で世界的に評判の高い米雑誌「ナショナル ジオグラフィック」が手がける初の長編映画だけに、作品の質は極めて高い。撮影期間約15年間、撮影時間計約800時間、編集に約1年半を費やしたというだけあって、過酷な自然に暮らす白クマとセイウチの親子を感動的に伝えることに成功している。

「もともと、セイウチのように謎に包まれている北極の動物たちの生態を広く紹介するのが目的だった。ところが、同じ場所では生息しないといわれていた白クマとセイウチの出合いに遭遇し、本作の製作につながった」(ラヴェッチ)

撮影で驚いたことは、こうした動物たちと人間の共通点だという。

「親子の愛や家族を思いやる気持ちは人間とそっくり。白クマは狩りの時、雪玉を相手に投げつけるの。作品にも登場する場面なので詳しくは言わないけれど、敵に襲われたとき、自分を犠牲にして家族を守ったりもする。この場面が一番印象に残っているわ」(ロバートソン)

米地質調査所(USGS)は先ごろ、地球温暖化の影響で北極海地域の海氷が解けて減少し、約50年後に白クマが3分の1程度に減るとの報告書を発表した。

「でも、温暖化防止が本作の主要テーマではないよ。厳しい自然の中での動物の適応性や判断能力、不屈の精神の素晴らしさに注目してほしいんだ」とラヴェッチは話している。

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