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新潟・山古志村が舞台
「マリと子犬の物語」被災者の思い結実
2007/10/10    東京朝刊 by 松本明子
平成16年10月23日に発生した新潟県中越地震から間もなく3年。当時壊滅的な被害を受けた山古志村(現・長岡市)で、被災者たちを勇気づけた実話が映画となった。12月8日に公開される「マリと子犬の物語」(猪股隆一監督)は、被災地に残されながら、出産したばかりの3匹の子犬を守り続けた柴犬のマリの物語。地震発生の前日となる10月22日には、長岡市内で完成披露試写会が行われる。

子犬のマリは父の船越英一郎(左)、祖父の宇津井健(右)らがいる石川家の新しい家族になり、子供たちは大喜びだったが…
子犬のマリは父の船越英一郎(左)、祖父の宇津井健(右)らがいる石川家の新しい家族になり、子供たちは大喜びだったが…

「マリと子犬の物語」の原作は、15万部以上の売り上げを記録した絵本『山古志村のマリと三匹の子犬』。地震当日の朝、3匹の子犬を出産した柴犬のマリの実話で、

子犬とともに取り残されたマリが、たくましくわが子を守り抜く姿を描いている。命の大切さ、母の強さを身をもって伝えた姿は、避難生活を続ける人々への大きな励ましとなった。

映画は船越英一郎、松本明子、高嶋政伸、宇津井健らが出演。約1カ月のロケには新潟県をはじめ長岡市、三条市が全面協力し、地元エキストラの参加は延べ約2500人にも及んだ。実際に救助にあたった陸上自衛隊ヘリなども登場、救助シーンではスタッフへの指導も行った。

山古志村を舞台にした映画としては、「鯉のいる村」(昭和46年)、ドキュメンタリー「掘るまいか 手掘り中山隧道の記録」(平成15年)などがあるが、今回の作品のような大規模な地元協力は前例がないという。「震災の残した教訓を忘れてはいけない」という地元の人たちの思いが、全面協力という形で作品に結実した。

長岡市観光課の広瀬弘之課長補佐は「これほど大々的なロケは初で、とても行政だけでは無理。地元としてどのようにかかわっていくべきかと考え、市民をはじめ観光協会、NPO法人など、民間と行政で支援連絡会を作った」といきさつを説明する。

長岡市にはフィルムコミッションが存在しなかったが、この撮影を機に準備が始まり、来年には設立される予定。新潟市フィルムコミッションとも意見交換を活発にし、映画のPRも積極的に進めていきたいという。

マリの飼い主である石川家の父親役を演じる船越は「小さな犬が、どうしてあんな大変な事態を乗り越えることができたのか。これは自己犠牲の物語。映画には、被災者たちの思いがつまっている。作品が復興の一助になれば」と話している。

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