宮沢りえ、加瀬亮主演の新作「オリヲン座からの招待状」の完成記者会見が11日、都内のホテルで行われた。原作は人気作家、浅田次郎の短編集「鉄道員(ぽっぽや)」」の中の1編。長く映画化が熱望されていた。
|
前列左から、宮沢りえ、加瀬亮。後列左から、三枝健起監督、宇崎竜童、樋口可南子、原田芳雄、中原ひとみ、、浅田次郎 |
宮沢、加瀬のほか宇崎竜童、中原ひとみ、樋口可南子、原田芳雄、三枝健起監督、浅田次郎ら総勢8人が出席する豪華な会見となった。
「監督と泣いたり、笑ったりの現場で生まれた作品です」と宮沢があいさつすると、加瀬は「ステキな温度の映画です」と個性豊かな表現で作品を紹介した。
物語の舞台は、昭和30年代の京都にある小さな映画館「オリヲン座」。先代の館主、豊田松蔵が病に倒れ、妻のトヨ(宮沢りえ)と、松蔵の弟子、留吉が映画館を守っていた。貧乏にたえながらもひたすら映画を愛し、運営を続けた2人。時を経て現代−。オリヲン座も閉館となる。最後の上映に向けてさまざまな人が足を運ぶなかで、ある奇跡が起こる。
生みの親の作家、浅田は「“おなみだ作家”と世間では呼ばれておりますが、本当は血も涙もない男。ただ、この映画を観て、不覚にも涙が流れました。小学生以降、初めてのことです」と会場を笑わせ、続けて「『鉄道員』の1冊から4作品が映画化されました。ひとつひとつを大切に作ってもらい、ありがたい」と作品の魅力をアピールした。
館主の松蔵を演じる宇崎は、「昔はレコード屋に行けば、ジャズ、ポップス、映画音楽…それぞれ店主の意志で1枚を紹介される。映画館も同じ。意志のある作品を流すのがオリヲン座だと思う」。
「映画は作るものではなく、ポッと生まれてくるもの。撮影を始めて3日目には作品の良し悪しが分かる。これは一体、どんなふうに生まれてくるのか分からないだけに、良い作品なんだろう」と原田はベテランらしい言葉で話す。
映画館の思い出について樋口は、「夫(コピーライター、糸井重里)と『シンドラーのリスト』を観に行ったことがありますが、隣りで号泣されて以来、2人では行きません」と冗談まじり。
トヨと留吉の男女関係も見どころのひとつ。
「トヨと留吉はプラトニックなのか、純愛なのか、男女の仲があったのか、演じた私にも分かりませんでした。それは観てくださった方々それぞれが感じてもらえたらと思います。セリフが多いわけではありませんが、(留吉を演じた)加瀬さんとは“無言の会話”を楽しめました」と宮沢。
映画についての考えを問われた加瀬は、「尊敬する森崎東(モリサキアズマ)監督とご一緒して、現場というものに衝撃を受けた。映画というものの存在を感じながら役づくりをした」。
また、トヨへの想いについては「きれいな気持ち、やましい気持ちが留吉にはあるが、素直に演じた。純愛かどうかは分からない」と複雑に語った。