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ロバート・デ・ニーロ、13年ぶりメガホン
映画「グッド・シェパード」 CIAの歴史、重厚に
2007/10/19 産経新聞   東京朝刊 by 岡田敏一
世界最大の諜報(ちょうほう)機関CIA(米中央情報局)の歴史を、1人のベテラン諜報員の目を通して描くハリウッド大作「グッド・シェパード」(20日公開)。米を代表する俳優ロバート・デ・ニーロが監督デビュー以来13年ぶりにメガホンをとった。自身も出演している作品だけに、約2時間47分の長尺を飽きさせない堂々とした内容に仕上げている。

CIAの歴史を丹念に描く重厚なドラマ「グッド・シェパード」
CIAの歴史を丹念に描く重厚なドラマ「グッド・シェパード」

主人公エドワード(マット・デイモン)は名門イエール大学時代、軍にスカウトされ、第二次世界大戦中の戦略事務局(OSS=CIAの前身)で諜報活動に従事。終戦後は、CIAの一員となり、米ソ間の冷戦に身を投じる。

彼は、キューバのカストロ政権の転覆をもくろみ米が裏で暗躍した「ピッグス湾事件」(1961年)の失敗原因を究明するが、その過程で、家族を守るか、国を守るかという究極の選択を迫られる…。

ジョン・F・ケネディ暗殺事件(63年)の遠因といわれ、CIA最大の汚点でもあるピッグス湾事件。いまも真相が闇に包まれているこの事件を軸に、エドワードの目を通してCIAの歴史や現代米国史の歩みが描かれる。

エドワード役のデイモンをはじめ、彼の妻を演じるアンジェリーナ・ジョリー、そしてエドワードを諜報活動の世界に招き入れた将軍役のデ・ニーロら、ベテラン勢が力のこもった演技を見せる。

父を自殺で亡くしたという幼少期のトラウマから逃れられないエドワード。そんな彼と妻クローバーの愛のない見せかけの結婚生活。息子も心を開こうとしない。苦悩の家族ドラマの要素も見逃せないが、題材が複雑なうえ、物語展開の時間軸が交錯するため、かなりの集中力が要求される。

脚本は「ミュンヘン」(2005年)など、ドキュメンタリー・タッチの作風で知られるエリック・ロス。時代考証が緻密(ちみつ)なだけに、米の現代史をある程度予習しておいた方がいいかも…。

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