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“ベテラン”な一本 再度、映画化
映画「ヘアスプレー」 踊る!太めのシンデレラ
2007/10/19 産経新聞    東京朝刊 by 岡田敏一
アダム・シャンクマン監督
アダム・シャンクマン監督
おデブちゃんの女の子がオーディションを勝ち抜きテレビのアイドルになるという風変わりなシンデレラストーリー「ヘアスプレー」(20日公開)は、米の超人気ミュージカルの映画化だ。製作総指揮・監督・振り付けを担当したアダム・シャンクマンはもともと米屈指のダンサー兼振付師で知られた人物。「舞台の持つパワーや、ダンスや音楽の力を恋しいと思う若者の思いを映画に反映できた」と胸を張る。

オリジナルは「ピンク・フラミンゴ」で知られるカルト界の鬼才、ジョン・ウォーターズ監督の同名映画(1988年)。2002年にニューヨークのブロードウェーでミュージカル化され空前のヒットを記録し、03年のトニー賞8部門に輝いた。この人気にあやかってハリウッドが再度映画化したのが本作。

ブロードウェーのミュージカル版そのままのパワーと、華麗なダンスの場面が印象的な「ヘアスプレー」

舞台は1960年代の米ボルティモア。若者に大人気のテレビ番組「コーニー・コリンズ・ショウ」に夢中な女子高生トレーシー(ニッキー・ブロンスキー)は、この番組にレギュラー出演し、あこがれの男性アイドル、リンク(ザック・エフロン)と踊ることを夢見ている。

ある日、母親の反対を押し切って新メンバーを選ぶオーディションに出向くが、出演者の中心的存在の美人アンバー(ブリタニー・スノウ)の母親で、番組の実権を握るベルマ(ミシェル・ファイファー)に容姿を理由に追い返される。

ところが高校のダンスパーティーで番組の司会者に実力を認められて見事、メンバーに。Lサイズの洋服店のイメージガールにも選ばれスター街道をひた走る。トレーシーの成功が面白くないベルマ母子は嫌がらせ。おまけに友人の黒人たちと人種差別反対のデモ行進に参加したトレーシーは警察に追われる身に…。

2003年、ブロードウェーの舞台版を見たが、観客のすさまじい熱狂ぶりにたまげた記憶がある。単なるサクセスストーリーではなく、人種差別の問題や随所にちりばめられた辛辣(しんらつ)な皮肉に感心したものだが、映画版ではそんな辛口テイストが薄められている。

「意識したわけではないが、映画では舞台版を約1時間削らざるを得ず、トレーシーが刑務所から脱出する場面(これが舞台ではけっこうな見せ場だった)はカットしたんだ」と残念そうなシャンクマン監督。

しかしその分「映画の方がダンスの場面が多いんだ」とも。そのためか舞台のパワーは損なわれていない。1960年代当時の懐かしいファッションに身を包み、うきうきするようなオールディーズ調の楽曲に合わせて軽快に踊りまくる出演者のダンスの場面は圧巻だ。  

「ダンスはとても厳しく指導したよ。出演者全員、この作品でのダンスは一生忘れないと思うね」。米では既に今年度のアカデミー賞の有力候補と言われている。

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