産経Webへ戻る
ENAKってどういう意味? | お知らせ | 新聞バックナンバー購入 | 問い合わせ | リンク・著作権 | MOTO | 産経Web
2度目の弾正
歌舞伎「毛抜」嵐圭史に聞く
4月6日(日)  東京朝刊 by 生田誠
恒例となった前進座の国立劇場公演が11日から、東京・隼町の同大劇場で行われる。今回、同座ゆかりの出し物、歌舞伎十八番「毛抜」で痛快なヒーロー、粂寺(くめでら)弾正を演じる嵐圭史に聞いた。

痛快なヒーロー、粂寺弾正を演じる嵐圭史
痛快なヒーロー、粂寺弾正を演じる嵐圭史

「毛抜」はその名の通り、大きな毛抜が物語のカギとして登場する。髪の毛が逆立つ奇病を持つお屋敷の姫君。じつは姫君が差した金属性の櫛を、天井から磁石で持ち上げることで病を装っていた。見舞いに来た婚約者の家来である粂寺弾正が、ひげを抜く毛抜が踊る(逆立つ)ことで仕掛けに気がつき、仕組んだ悪人たちを退治するという物語。

「明治期にこの芝居を復活した二世市川左団次のそばにいた二世河原崎長十郎さんがうち(前進座)でやった。その後は中村梅之助さんで、私の弾正は平成7年の大阪・中座以来の2回目です。大好きな芝居で、おおらかで何ともいえない魅力がある」。侍女や若衆、男女を問わずにちょっかいを出して失敗する憎めない存在だ。

もともとは通し狂言の「鳴神不動北山桜」の一部で、現在では「鳴神」と分けて上演されることが多い。前進座の上演機会も多く、圭史が初めて出演したのも昭和35年、20歳のとき。これまで磁石をもつ忍者、弾正に口説かれる秦秀太郎、家老の秦民部などを務め、「ずっと目にしてきた芝居でした」という。

「立ち役中の立ち役で大きさを出したい。色気は出そうと思っても出せないが、普段の心がけが大事だし、キャリアの積み重ねはある」。古劇の味わい、理屈抜きの楽しさを堪能させてくれるだろう。

22日まで、中村梅雀主演の「新門辰五郎」との2本立て。問い合わせは(電)0422・49・2811。



産経Webは、産経新聞社から記事などのコンテンツ使用許諾を受けた(株)産経デジタルが運営しています。
すべての著作権は、産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産経・サンケイ)
Copyright(C)2007 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.

ここは記事のページです