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「阿国歌舞伎夢華」「蜘蛛の拍子舞」
坂東玉三郎 南座・特別舞踊公演を語る
  大阪夕刊 by 廓正子
「今年はパッと派手なものを…」と8回目になる京都・南座の「坂東玉三郎特別舞踊公演」は、舞踊劇「阿国歌舞伎夢華(おくにかぶきゆめのはなやぎ)」と、古典「蜘蛛(くも)の拍子舞」の2本だて。前者は歌舞伎の始祖、出雲の阿国であり、後者は白拍子に化けた女郎蜘蛛の精で玉三郎の美の世界を披露する。共演は市川猿之助一座の若手と上方の坂東薪車たち。そのねらいを聞いた。

「『蜘蛛の拍子舞』では盛大に千筋の糸を投げますよ」と話す玉三郎
「『蜘蛛の拍子舞』では盛大に千筋の糸を投げますよ」と話す玉三郎
「阿国歌舞伎夢華」は、出雲の阿国の伝説や残っている絵画などをもとにして構成。男伊達(猿弥、弘太郎)を狂言回し風にして、女歌舞伎の一座(笑三郎、春猿ほか)を率いる阿国と、名古屋山三(段治郎)の恋を幻想的に描いていく。

「歌舞伎手法で書かれた阿国は意外と少ないのです。それでいて名前が残っているのはなぜかと調べてみたら、史実にはないのですが徳川家と密接なつながりがあったようです。そうでなければ一人の芸能者がこれほど大きな存在になっていなかったと思います。阿国は頭が良くて、社交的だったんでしょうね」

「阿国の男装した絵が有名ですけれど、今回、私は太刀はつけません。いろいろな出来事があって、結局、自分は扇を持って舞っていくより仕方がないのだというラストにしました」

この作品は平成16年12月、東京・歌舞伎座で初演。万事、華やかに仕立てられている。構成・振付は藤間勘吉郎。上演時間55分の予定。

「蜘蛛の拍子舞」は天明元年(1781)、江戸中村座で初演されたもの。源頼光とその家来たちによる妖怪退治の物語。ある夜、葛城山の女郎蜘蛛が白拍子・妻菊に変身して現れる。妻菊と頼光(笑三郎)家来の碓井貞光(薪車)の3人が、セリフを歌うように言いながらリズミカルに踊るくだりを拍子舞といい、前半のヤマ場になる。後半は正体を現した蜘蛛が舞台いっぱいに千筋の糸を投げかけるのが見どころ。

「拍子舞は、なるべく古風に、たっぷりと踊りたいと思っています。いい意味で日常性を忘れる時間をつくりたい、それが私のねらいです」

上演時間1時間5分の予定。振付・藤間勘吉郎。

9〜23日。問い合わせはチケットホン松竹(電)0570・000・489。



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