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批判投稿は掲載せず
病院探しはネットが得意 口コミ投稿で評判チェック
  東京朝刊 by 海老沢類
インターネット上で医療機関の情報を検索できるサイトが好評だ。患者の口コミ投稿を読んで評判を確認したり、症状をチェックしたうえで目当ての病院を探したり、と使い方はさまざま。患者が医療機関を主体的に選ぶ流れが強まるなか、貴重な情報源として重宝されている。

アクセス倍増
「鼓膜を破ってしまったとき、丁寧に分かりやすく状況を教えてくれた」「テキパキしていて判断が早い」…。

昨年11月に正式オープンした病院評判サイト「QLife(キューライフ)」(www.qlife.jp/)。「名医」「世田谷」とキーワードを打ち込んで、「くちコミ検索」をクリックすると、病院名とともに患者の体験談が表示される。

サイトには動物病院を含む全国約16万件の病院データが掲載され、診療科目や所在地から目当ての病院を探すことができる。最大の特徴は冒頭のような口コミ投稿を閲覧できることだ。

開設を後押ししたのは、平成14年に厚生労働省が行った受療行動調査。病院を選ぶ際の情報源として、家族・友人・知人からの口コミ情報を挙げる人が多数を占めた。だが、痔(じ)や水虫など周りには相談しにくい悩みの場合、結局、我慢して病院から足が遠のいてしまう人も多い。こうした需要に応え、4月のアクセス数は300万件と前月の倍以上に伸びた。口コミ投稿も1日100〜300件のペースで寄せられ、4月末現在で首都圏の医療機関の約20%をカバーしている。

運営にあたるQLife(東京)の山内善行社長は「病院からの積極的な情報公開が期待できない現状では、患者の生の声は有力な情報。医師に比べて専門知識が少ない患者でも、情報交換すれば知識は増えるはず」と話す。

あくまで体験談
情報処理サービスのフィードバック・ジャパンが開設した「病院の通信簿」(www.tusinbo.com/)は、病院のサービス内容を通信簿形式で比較できるのが特徴だ。実際に治療を受けた患者が、医師の指導や受付の対応まで計15項目を5段階評価し、おすすめできるポイントなどを添えて投票する。会員登録(無料)すれば、それらの情報を閲覧できる仕組みだ。

誹謗(ひぼう)中傷を避けるため、QLifeと同様、批判投稿は掲載していないが、サイトと契約を結んだ約180の医療機関には批判投稿も開示し、サービス改善に役立ててもらっているという。

病気の症状チェックを充実させたのは、リクルートなどが運営する「ここカラダ」(www.cocokarada.jp/)だ。「病名から病院は探せても、そもそも自分の症状がどんな病気なのかわからないという人が多い」とリクルート広報。問題がある体の部位を選んで症状に関する質問に答えていくと、可能性のある病名と診療科目が表示される。

このような医療機関検索サイトが人気を集める背景には、「サービス内容を見極めて主体的に医療機関を選ぼうとする患者が増えている」(フィードバック・ジャパンの蔵敷(くらしき)健治社長)ことがある。ただ、サイトに掲載される口コミ投稿は、あくまで個人の体験談。サービス内容の比較が目的で、医師の技術の優劣を評価するものではない。

QLifeの山内社長は「医師にじっくり話を聞いてほしい人もいれば、『忙しいから3分診療でいい』という人もいる。患者によって求める医療の内容はさまざま。異なる情報を見比べて判断材料の一つにしてほしい」と話している。

情報公開、拡大の流れ
病院を選ぶ患者をサポートするため、4月に施行された改正医療法では、これまで各医療機関の判断に委ねられていた情報公開に基準が設けられた。

病院、診療所、歯科診療所、助産所の各医療機関は今年度中に、所在地や診療科目、病床数といった基本情報を都道府県に報告、都道府県側にはそれらの情報をホームページなどで公開することが義務付けられた。平成21年度までには、医療保険や公費負担の取り扱い、クレジットカードによる支払いの可否なども公開が義務付けられる見通しだ。



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