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キッチンやお風呂でも通話可能?!
デジタル機器、進化する防水技術 
  東京朝刊 by 森浩
長らく電子機器の“天敵”として、利用者の前に立ちはだかったのが「水」。パソコンにコーヒーをこぼしたり、携帯電話を洗濯したりして、途方に暮れた経験は誰しもあるだろう。そんななか、これまでの常識を超えた高い防水性能を誇る製品が続々と登場している。水が“天敵”でなくなる日は近い!?

富士通の携帯電話F703i。折りたたんでも隙間が小さく、水が入りにくい構造になっている(撮影・森浩)
富士通の携帯電話F703i。折りたたんでも隙間が小さく、水が入りにくい構造になっている(撮影・森浩)

お風呂メール
富士通が1月に投入した携帯電話F703iは、高い防水性能が売りだ。防水の工業規格である「IPX7」(機器を水深1メートルの位置で30分間放置しても性能が保てる)相当の防水性能を備えた。「お風呂や洗面所、キッチンなど水が多い場所でも通話やメールが可能です」と同社モバイルフォン事業本部の坂本秀幸さんは胸を張る。

折りたたみ型の携帯電話は接合部分から浸水しやすいが、それをクリアするため、新型の防水パッキンを開発。さらにさびにくいステンレス製のネジや、スピーカーやマイク部の音響用防水シートなど、さまざまな特殊部品を採用している。バッテリーパックも内側にカバーを設ける“二重構造”にして防水を実現した。「水が入ってくることを前提にして、重要な部分をいかに守るかを考えました」と坂本さん。

同社のアンケートによると、携帯電話にほしい機能として2位にランクインしたのが防水機能だった。「ニーズは意外と高い」(同社)という読み通り、発売直後から品薄状態が続いたほどの人気ぶりだ。

水深10メートルで撮影
デジカメでも防水化は進んでいる。

オリンパスイメージングが3月に発売した最新デジタルカメラの「μ770SW」は、水深10メートルでの撮影にも対応する「防水デジカメ」だ。

ゴム製のパッキンを開発し、あらゆるすき間からの機械部分への浸水を防いだ。海水で使用することも可能で、使用後は水洗いすることにより、腐食を防ぐことができる。「本体の薄さも同時に兼ね備えていて、パーティーからジャングルまで使えるカメラです」と同社は自信をのぞかせる。発売直後には生産が追いつかないほどの人気となった。

デジカメと同様、水による被害が多いのがパソコンだ。「故障の報告の上位に位置するのが水ぬれによるものです」と説明するのは、松下電器産業。展開するノートパソコン「レッツノート」シリーズの一部機種に「防滴加工」を施している。

キーボードやタッチパッドの下部を防水シートで覆ったうえで、底面や側面に排水口を設けている。電源が入った状態でキーボードに誤って水をこぼしても、水がパソコン内部の基板やハードディスクにかからず、穴から排出される仕組みだ。「コップ1杯程度までなら、水を浸入させない仕組みです」(同社)

このように防水性の向上に力を入れる各社が異口同音に語るのが、「防水機能とデザイン性の両立」だ。「これまでも防水機能を備えた商品は出ていたが、ごつくてあまり(売れ行きは)芳しい状況ではなかった」と富士通の坂本さんは語る。

しかし、IT市場についての研究を行うMM総研の篠崎忠征さんは「携帯電話をはじめ進化が速く新機能がわかりにくくなっている電子機器だが、今後わかりやすい付加価値として(防水性は)注目されていくだろう」と予測している。

困った時の…復旧サービス
水没したり破損したりしたパソコンからデータを復旧させるサービスが人気を集めている。

「火災でパソコンが焼けてもデータがよみがえる可能性があります」と説明するのは、全国でサービスを展開するデータ復旧センター(福岡)。同社が持つクリーンルーム内で壊れたパソコンを分解して記憶媒体を抜き出し、別の媒体に保存し直す。平成16年の新潟県中越地震で被災し、泥だらけになったパソコンからデータを復活させた実績もある。

価格は容量が2ギガまでが19万円(税込み)。同社では「市場は拡大中です。どうにも手が施しようのないこともありますが、こういうサービスがあることを知ってほしい」と話している。



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