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来客、他部署と交流
オフィス変貌 ワインバーにビリヤード…刺激を知性に
  東京朝刊 by 山口暢彦
バー、ビリヤード、茶室風の会議室…。一風変わった設備を備える個性的なオフィスが最近、増えているという。仕事の合間や退社前に短時間でもリフレッシュできる空間に身を置くことで、アイデアがひらめいたり、社員間の交流を図れたりといった“効果”が期待できるとか。企業側には魅力的なオフィス空間を自社のイメージアップにつなげたいという思惑もあるようだ。

ディーツー コミュニケーションズのオフィスの一角に設けられたバー=東京都港区
ディーツー コミュニケーションズのオフィスの一角に設けられたバー=東京都港区

アフター5に
窓外の高層ビルを眺めながら高級ワインをちびり…。オフィスでこんな楽しみを味わえるのが、東京・汐留のビルの18階にある広告代理業「ディーツー コミュニケーションズ」。

約160人の社員が働くオフィスの一角に設けられているのはバーカウンター。オフィス全体が白い蛍光灯に照らされているのとは対照的に、暗めの照明で、周りとは違うムードが漂う。

社員はセラー内の二十数本のワインから好きなものを無料で飲める。就業時間後、同僚とグラスを傾けたり、打ち合わせを終えた顧客と乾杯したり。「さすがに就業時間中に飲む人はいない」(広報宣伝部の金松愛(キム・ソンエ)さん)ものの、職場の中のリラックスできる異空間として活用されている。

クリエーティブな発想が求められる広告代理業。金さんは「柔軟なアイデアを出すためには、リフレッシュし、頭を軟らかくする必要がある」と“職場バー”設置の狙いを語る。

“風通し良好”
企業などへの派遣スタッフや、スタッフ登録をしに訪れた人のためにオフィス作りを工夫しているのが東京・大手町の人材派遣会社パソナだ。

2階の登録用の部屋には、楕円(だえん)形のテーブルを8個配置しているが、間仕切りはない。登録する人はこのテーブルにつき説明を受ける。部屋もガラス壁で、パソナ社員らが働く各部署を見渡すことができる。

「開放性を持たせることで、緊張して訪れる人にもゆったりとした気分になってもらおうと考えた」と同社広報グループの根本恵介グループ長。1階にはコーヒーカウンターもあり、派遣スタッフは無料で利用できる。「オフィスを(パソナに魅力を感じてもらうための)“ショールーム”にしていきたい」と根本さんは話す。

茶室風会議室
このほかにも、独自の視点からオフィス環境の改善に取り組んでいる企業は少なくない。

経営コンサルタントのワイキューブは、地下のバーに2台のビリヤード台を置く。情報サービスのドリコムも、受付の前にビリヤード台1台設置している。「互いによく知らない異なる部署の社員の間で交流を深めることができる」(ドリコム)という。

また、不動産業のゼクスは、会議室ごとに歴史上の有名人の名前をつけている。例えば、欲しい人材の「口説き面接」用の部屋は「利休」と“命名”。茶器も置かれた茶室風の和室で、「掘りごたつを囲むことで“距離”を縮めることができる」(広報担当の坂下朋子さん)としている。

人材確保の思惑も
オフィスデザインの翔栄クリエイト(東京)によると、個性的なオフィスを持つ会社がここ2、3年、増えている。

「景気が回復し、各企業が雇用を拡大しているので、新卒を簡単に獲得できなくなっている。一方で、転職も当たり前になってきた。魅力的なオフィス環境は人材を呼びこむための重要な要素になっている」と広報担当の石原徹也さん。

実際、同社が昨年4月、20〜40代の会社員ら400人を対象にアンケート調査を実施したところ、就職・転職活動をする際、オフィス環境を参考にする人は53・3%にのぼった。同社は「人材獲得にオフィス空間を積極的にアピールする企業は今後も増えるのではないか」と予測する。



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