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「REIDEEN」と「鋼鉄神ジーグ」
TVアニメ リバイバル、大人世代に照準
  東京朝刊 by 戸津井康之
昭和50年代のテレビアニメのリバイバルが相次いでいる。対象は10代のころオリジナル版を見て育った30、40代の大人世代。名作アニメのリバイバルはこれまでも繰り返されてきたが、地上波しか放映手段がなかったころと違い、今は衛星、インターネット放送など多チャンネル化の時代。そこにDVD市場も加わる。多様な需要をにらんだ制作サイドの戦略を探った。

大人世代に向け、画質のクオリティーも向上した「REIDEEN」のワンシーン(c)東北新社
大人世代に向け、画質のクオリティーも向上した「REIDEEN」のワンシーン(c)東北新社

衛星放送のWOWOWが放送している「REIDEEN(ライディーン)」と「鋼鉄神ジーグ」は、それぞれ昭和50年放映の「勇者ライディーン」と「鋼鉄ジーグ」のリバイバル作品だ。

制作部の北浦宏之プロデューサーは「メーンの対象は30代後半の大人」と明言する。

「子供向けアニメが大半を占める地上波と差別化を図りたかった。有料で見てもらうに値する大人向けの本格アニメを探し、市場ニーズなどを調べた結果、30代後半の大人が子供のころに影響を受けた両作品が残った」

大人を対象にした名作アニメのリバイバルは同局初の試み。北浦さんは「多チャンネル時代には、スポンサー主導ではなく契約者のニーズに直結した番組作りが求められている」と話し、アニメで育った大人向けのリバイバルブームは今後も続くと分析する。

地上波の場合、アニメ制作で大きな権限を握るのは番組スポンサーで、例えば玩具メーカーなどが人気ロボットアニメのスポンサーとなる。作品に登場するロボットのプラモデルなどが売れれば、番組はシリーズ化される。

スポンサーが付くことは、もちろん制作サイドにとってありがたい話だ。しかし、場合によっては、スポンサー企業が商品化しやすいキャラクターやグッズを番組に登場させるなど、作り手側が自由な創作を妨げられるケースも少なくなかった。しかし、多チャンネル化はこうした状況を大きく変えた。

今年夏から衛星放送が始まる「装甲騎兵ボトムズ」(昭和58年放映)の再制作が決まるまでの過程は、これまでの地上波のアニメ放送の常識を覆すものだった。

「スポンサーが付かないまま新作の制作が決まった」。制作会社「サンライズ」のライツ営業部、渋谷誠係長はそう話す。

ボトムズのブームは数年前に始まった。新ストーリーの小説がアニメ誌で発表され、作中に登場するロボットの模型が続々と製品化され、模型市場が賑わい出した。購入層の多くは30、40代で、10代のころ、最初の放送を見ていたファンだった。

軍事色が強く、従来の子供向けアニメとは一線を画していたため、放映時は高い視聴率を取ることはなかったが、独特の世界観を好むファン層が育っていた。そうしたファンが、雑誌社や模型会社の中堅を担う存在となっていたことがブームを支える要因となった。

「ボトムズ」の制作費は、キャラクター商品の版権料やDVDの販売収入などでまかなわれる。現在、新作12本を制作中。“ボトムズ現象”は、スポンサーが付かなくてもアニメ制作が可能なことを証明した。

「旧作ファンから若い層にまでブームを広げたい。数十年経っても消えることのないボトムズの魅力は伝わるはず」。自らもボトムズファンの一人である渋谷さんは期待を込めてそう話した。



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