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社員6割が登録の企業も
社内SNSに注目 交流で社員の孤独解消
  大阪夕刊 
インターネットの交流ツール「ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)」を社内に導入する企業が増えている。社員同士が職域を越えて交流し「組織の中の孤独」を解消したり、退職した元社員をつなぎとめて人材確保に役立てたりと用途はさまざま。有名な「ミクシィ」や「グリー」などは多くの会員数を誇るが、社内版は小規模で“顔の見える”ネットワークが特徴だ。

日記や趣味も
プロフィルや日記、仲間のリストに趣味の欄−。相手のページを開くだけで人柄がわかる。そんなSNSの特性を社員同士の交流に役立てているのは、NTTデータ(本社・東京)だ。

「NSには堅苦しさがない。文章や写真からナマの声が伝わる。8000人も社員がいる会社ですから、同僚といっても面識のない人がほとんど。でもSNSのページをのぞいていれば『はじめまして』という気はしませんね」

同社でSNSを管理・運営しているグループの一人、竹倉憲也さんはそう話す。

昨年4月に開設され社員の6割を超える約5400人が登録。業務ではないのに、口コミによる紹介で広まった。日記の更新は1日平均150件。テーマごとに仲間が自由に集まるコミュニティー数は700を超えた。

横のつながり
開設の背景には、若手社員の悩みがあったという。「一人で仕事をしているようだ」「息苦しい」…。社内満足度調査で、20代社員の孤独が浮かび上がった。「昔のような『飲みニケーション』もない時代。縦割り組織や世代の壁を超えた『横のつながり』を生み出したかった」と竹倉さん。

質問コーナーもあり、仕事上の悩みや疑問が書き込まれる。質問1件あたり6〜7件のアドバイスが寄せられる。

導入当初は、勤務時間中にSNSを利用するのでは、という懸念もあった。しかし、竹倉さんは「利用時間は朝と夕方の就業前後に集中しており、モラルは守られている」と胸を張る。

企業向けにSNSシステムを開発、納入しているビートコミュニケーションの村井亮社長によると、SNSを導入している国内企業は数百社。「SNSはミクシィやグリーで一般に浸透し、多くの人が使い方を理解している。社内SNSは今後、電子メールのように当たり前の情報伝達手段になるのではないか」と話す。

復職の“味方”
日本興亜損保(本社・東京)が昨年2月、退職者向けに開設したSNSは、仕事と育児の両立に一役買っているという。

女性社員の多い同社では、育児休暇中の社員の仕事をカバーする人が常に必要。一方で出産や配偶者の転勤などを理由に中途退社した社員も多い。そんな環境から生まれたアイデアだ。

きっかけは、女性が働きやすい環境を整えようと行った聞き取り調査。現役社員からは「育休中のピンチヒッターがほしい」、退職したOGからは「子育てがひと段落したら再び働きたい」という声が寄せられた。「専門知識や仕事の流れを分かっている元社員は即戦力。出産した現役社員には安心して育児休暇をとってもらいたい。両者のニーズをマッチングさせるのにSNSが役に立っている」と同社人事部。

昨年1年間で、SNSを通じた求人に応じたOB・OGは20人。OGの一人で営業職に復職した女性(46)は「復帰したい人の就業ニーズをフォローしてくれた。以前と同じように、違和感なく働けていますよ」と話す。



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【用語解説】SNS

インターネットを利用して人間関係を広げることを目的に開設されたウェブサイト。各自が簡易型ホームページを作成し、共通の趣味や目的意識を持つ別のユーザーと交流を深めていく。すでに利用している人の招待がなければ参加できないことから、匿名性の高いネット上の掲示板や、誰でも閲覧、書き込みができるブログよりも安心感があるといわれている。日本最大手mixi(ミクシィ)は983万人(平成19年5月10日現在)、グリーは120万人(平成19年4月末日現在)が利用している。