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動きしなやか、ダイエットにも
「リズミック・カンフー」女性愛好家増える 
5月12日(土)  東京朝刊 by 山口暢彦
中国武術でキュッと
フィットネスとして格闘技に取り組む女性が増えているようだ。その一つとして人気が高まっているのが、ジャズやロックなどのリズムに合わせて中国武術の型(ポーズ)をとる「リズミック・カンフー」。内在する闘争心を楽しみながらかきたて、体は筋肉をバランスよく使い、姿勢・動作はしなやかに。心身がともにキュッとひきしまる、それが人気の秘訣(ひけつ)のようだ。

く蹴り!表情は真剣そのものだ=東京都足立区の鹿浜地域学習センター(撮影・鈴木健児)
く蹴り!表情は真剣そのものだ=東京都足立区の鹿浜地域学習センター(撮影・鈴木健児)

平日の午後8時過ぎ、東京都足立区の地域学習センター。アップテンポの大音量の音楽が流れるなか、女性11人が真剣な表情で壁の鏡に向かう。彼女たちは「リズミック・カンフー鹿浜教室」のメンバーらだ。

「はい、1番目(の型)」。道着姿の講師、橋本明美さんのよく通るかけ声にあわせ、きびきびと力強く「基本演舞」のポーズを決めていく。

まずは、敵の攻撃を片手で上へ払い、もう片方の拳(こぶし)を敵に繰り出す「立拳突(たてけんづき)」の動き。これを左右交互に繰り返す。「少し速く」「うんと速く」。橋本さんの声に合わせ、テンポを速めていく。

次に、顔の前で“チョップ”を横に払う「手刀打(しゅとううち)」と、体を正面にむけたままひざを上げ、前に蹴(け)り出す「前蹴(まえげり)」。最後は、体をひねりながら高い位置を蹴る「足刀蹴(そくとうげり)」だ。

基本演舞の前には、柔軟運動や、前進しながら型をきめる「運歩法」を行っており、時間は全体で約80分。その間休憩はなく、汗びっしょりになる運動量だ。

「週1回の練習でも、普段の生活の姿勢が良くなるし、体は軟らかくなる。血行もよくなるし、何よりぜい肉がとれますよ」と橋本さん。生徒同士で打ち合ったりしないので危険もない。

参加者の一人、北区に住む主婦、荒木尚子さん(49)は「もともと武道をやってみたかったが、女性が本格的にやるにはハードだと思い、始められなかった。けれど、リズミック・カンフーなら、音楽を聴きながら楽しく手軽に武道が楽しめる」という。そしてその“効用”は、「ガチガチに硬かった体が軟らかくなったこと」と語った。

リズミック・カンフーの教室は首都圏を中心に約40あり、生徒は小学生から80代まで約1000人に上る。「その多くが女性なんです」と、「リズミック・カンフー」本部代表の岸俊和(としや)さん。

「型」は、少林寺拳法など中国武術や日本の空手からとった約40パターンアリ、音楽モバロック、ジャズ、ロック、エスニックサウンドなどさまざまだ。

「以前からエアロビクスやジャズダンスに飽きたらず、格闘技をかっこいい、やってみたいと、あこがれを抱く女性はいた。しかし一方では、『男がやるもの』『汗くさそう』といった理由から敬遠していたんです」と、岸さん。

だが格闘技ブームや、ボクササイズに代表されるようなフィットネスへの格闘技要素の取り込み、また、スポーツにおける男性との対等意識の高まりなどにより、格闘技に抵抗感がなくなり、女性の“格闘技人口”を押し上げるようになったようだ。

リズミック・カンフーも生徒が確実に増えているという。「ソフトで楽しいものであれば、格闘技は十分、女性でもとっつけますよ」と岸さんは話している。

プロ選手育成のジムでも
フィットネス目的の女性格闘技愛好家が増えているのにあわせ、スポーツクラブなどでは女性向けの指導プログラムを充実させている。

「コナミスポーツ&ライフ」は、音楽に合わせボクシングやムエタイなどの型をとる「ボディコンバット」を展開。「ティップネス」も、同様の「ファイティングラッシュ」を用意している。プロボクサー、空手選手などを養成するジムや道場でも、女性向けの指導に力を入れる。  また、「人間風車」の必殺技を持つ往年の名プロレスラー、ビル・ロビンソンさんがヘッドコーチを務める「U・W・F・スネークピットジャパン」(東京・高円寺)は、レスリングの基本技を教える珍しいジムだ。



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