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スクリーン数、都道府県別で約2・5倍
地域格差 エンターテインメントで顕著に
  東京朝刊 by 岡田敏一
「格差社会」が話題になる日本だが、映画やコンサートといったエンターテインメントの分野でも地域的、金銭的な格差が広がっている。シネマコンプレックス(複合映画館)が増加したことで、都道府県別で比較すると、スクリーン数に約39倍の差がついた。音楽イベントの開催数にも約264倍の最大差が。一方で、海外スターの来日コンサートでは5万円を超える高額な特別席が売れる。気分転換の場でさえ社会の現実に直面する現象は今後も拡大しそうだ。

日本映画製作者連盟によると、全国47都道府県の総スクリーン数は3103で、最多は東京都で349。愛知県(227)、大阪府(213)と続く。少ないのは徳島県(9)、島根県(10)、高知県(11)など。20〜60という県が多い。

人口の差を考えて、数では約39倍の差がある東京都と徳島県で1つのスクリーンあたりの人口を計算してみた。東京都は約3万6千人で、徳島県は約9万人。その差は約2・5倍になる。

全国の総スクリーン数は、平成5年にシネコンが登場してから増え始め、同9年から今年までの10年間で1219増。大きく増えたのは東京都や神奈川県、愛知県、大阪府といった都市圏で、地方では見たい映画をなかなか選べないという現象が続いている。

同連盟の愛宕(おたぎ)威志事務局次長は「人口の多い大市場でスクリーン数が多いのは当然の経済原則だが、過疎が進む地方都市では普通の映画館の廃業も目立っており、今後、格差はさらに拡大するのでは」と予想する。

音楽の世界でも格差が進んでいる。ぴあ総合研究所(東京都千代田区)によると、平成17年に開催された全音楽イベントの数は東京都が1万4507回。最も少ない和歌山県は55回だった。

地域差よりも、もっと露骨に格差社会を象徴するのが「超高額チケット」の登場かもしれない。これまで、来日した海外アーティストのチケットはS席、A席といった大まかな区分だけだった。価格もせいぜい1万円前後。

ところが昨年3月の英バンド、ローリング・ストーンズの東京公演では1枚5万5000円の席が登場。招聘(しょうへい)元のJECインターナショナルによると「熱狂的なファンが多く、1公演約3000席用意したこのチケットが一番早く売り切れた」という。同じく昨年来日公演を行ったマドンナもSS席が5万円だった。

こうした“差別化”は米国流で、両コンサートは米国の興行会社がチケット価格の設定を仕切ったというが、日本の音楽市場に詳しい米音楽誌ビルボードのアジア支局長、スティーヴ・マックルーアさんは「米国に比べればまだ割安感もあり、こうした価格設定は今後も増えるだろう」と話している。



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