宮里藍、横峯さくらなど実力を備えた若手選手の相次ぐ台頭で、男子を上回る人気となった女子プロゴルフ。注目度の上昇とともに、20〜30代の女性の間でゴルフへの関心が急速に高まっている。ミニスカートやワンピースなど、愛らしいゴルフファッションが流行し、ゴルフを通じて男性との新たな出会いを期待する女性もいるようだ。
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プレーとともにファッションが話題となった辻村明須香選手 |
今年3月。ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントでプレーオフの末、惜しくも2位勝となった辻村明須香選手。プレーだけでなく、ファンの間で話題になったのは、ハートマークがたくさんついたピンクのサンバイザー、そして薄いハート模様のウエアというファッションだった。
「大会後しばらくは1日100件近い問い合わせがありました」と話すのは、辻村選手が契約する「nuni(ヌニ)」の輸入元「デサント」。
「nuni」はフランス人の女性プロゴルファーが2002年に立ち上げ、日本には一昨年秋に進出したばかりだが、従来のゴルフウエアらしくないのがこのブランドの魅力。「オフでも活躍するウエア」をコンセプトにワンピースやミニスカートを豊富に取りそろえる。
スポーツメーカー「アディダス」も今夏に向けて、初めてゴルフ用のワンピースを発売。また古閑(こが)美保選手と「プーマ」、横峯選手と「ルコック」など、各メーカーは人気ゴルファーとタッグを組んで女性層の獲得に躍起だ。
東京・自由が丘に昨年11月にオープンした女性専門のゴルフショップ「ヴィクトリアゴルフ ウーマンスタイル」は、ミニスカートや、スワロフスキー(クリスタルグラス)を施した派手なパターなどが幅広い世代に売れているという。
「ゴルフ場は違う自分に変身したいという願望をかなえる舞台となっているようです。普段はミニスカートをはかない人でも、冒険することが多い」と担当者。
おしゃれなウエアを身にまとった女性たちの間で流行しているのが、ゴルフ合コン。昨秋に創刊した女性向けのゴルフファッション誌「レジーナ」では「ゴルコン」(ゴルフコンパの略)と名づけ、コミュニケーションの場としてゴルフを楽しむ男女を特集する。
編集長の黒澤弥生さんは「通常の飲み会よりも健康的で、1日ラウンドすると、性格やプライベートのファッションセンスなど相手の本質が分かる、と若い女性に人気です」と語る。
ゴルフ場自体も、外資系の参入などによって、女性向けサービスが充実し、プレーしやすくなりつつある。女性専門のゴルフのフリーペーパー「ゴルフウーマン」の上本善彦編集長は、いま業界全体でゴルフはビジネスマンのスポーツというイメージの刷新に取り組んでいると指摘。
「団塊の世代がゴルフから離れたとき、ゴルフ人口が大幅に減ってしまうという危機感がある。もっとカジュアルで楽しいものにすることで女性に来てもらい、そして若い男性も引き入れたい、というのが本音ですね」と話している。
宮里躍進が影響?
宮里藍選手が女子ゴルフワールドカップで北田瑠衣選手とともに世界一に輝いた平成17年、ブリヂストンスポーツがアマチュアゴルファー約1000人を対象に行った調査によると、「ゴルフにのめり込んでいる」「面白くなってきている」と答えた20代女性は89・6%にのぼり、20〜60代の男女年代別で最も高かったうえ、5割以上が「プレー回数が増えた」と回答した。同社広報室の嶋崎平人さんは「同世代のプロの活躍で、若い女性にとってゴルフはおじさんのスポーツからファッショナブルなスポーツに変わった」と話している。