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機能拡張、買い替え需要をつかめ 
カーナビ競争過熱
  東京朝刊 by 塩原永久
カーナビゲーションシステムの高機能化が加速している。大手電機メーカーが今夏までに発売する機種は、走行中の他車ときめ細かな渋滞情報を共有できるシステムや、ネット上で見つけた「人気の飲食店」などの目的地へルート案内する仕組みなど、新機能が満載だ。新車販売が伸び悩む中で、カーナビ市場も頭打ち。各社は「快適なドライブ」のための付加機能を打ち出し、買い替え需要の喚起を狙う。


最大手、パイオニアが今月下旬に発売する「カロッツェリア サイバーナビ」は、渋滞情報が受信できる地域を従来の約5倍となる全国約33万キロの道路に拡大した。

同じ機種を設置した他の車と、携帯電話を経由して走行記録を互いに送受信し、既存の渋滞案内サービスのVICS(道路交通情報通信システム)より詳細な情報が把握できる。同社の波江野章常務は「目的地への最速ルートが表示できる新世代カーナビ」と胸を張る。

自宅のパソコンとの連携を高めたのが、松下電器産業の「ストラーダ Fクラス」だ。専用の会員サイトに集まった流行スポットなどの情報から行きたい場所を検索できるのが特徴で、目的地情報を取り込んだメモリーカードをカーナビ本体に挿入し、簡単な操作でルート検索できる仕組みだ。

車内で同乗者がテレビを楽しめるように、地上デジタル放送の受信機能も高めた。地デジは受信できる地域が狭いため、4本の独立したアンテナを車体に設置することで、従来の1・8倍の地域で受信が可能になったという。

各社がカーナビの高機能化を進める背景には、市場の伸び悩みがある。電子情報技術産業協会によると、平成18年の国内出荷実績は約400万台で頭打ち。それまで2ケタの伸びを続けてきたものの、業界内では「今年は2%成長どまり」(大手)と悲観的な予測も聞かれる。

新車販売台数の低迷も影響している。「カーナビを搭載する車の台数増が期待できない以上、高付加価値化が不可欠」(パイオニア)との見方も根強い。

一方、三洋電機が発売中の「ミニゴリラ」シリーズのように、比較的安価な簡易型カーナビにも人気が集まっている。ミニゴリラは携帯端末向け地デジ放送(ワンセグ)が受信でき、取り外して車外で使用できる汎用性が消費者に支持されている。

テレビの受信機能や、携帯音楽プレーヤーとの連携など、今後カーナビは「情報端末」としての機能を拡張していくとみられている。大手電機メーカーも「クルマ」を家庭や企業に次ぐ成長市場ととらえ、関連事業の強化を図っており、カーナビの新機能競争は過熱の一途をたどっている。



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