「目は心の鏡」「目は口ほどに物を言う」「明眸皓歯(めいぼうこうし)」…など、目にまつわる言い回しが多いことに象徴されるように、目はその人の印象を左右することが少なくない。ところが、年齢とともに目の下はくぼみ、まぶたは下がり、まつげは抜け落ちて、なんとなくたるんだ印象になってしまう。いつまでも若々しくというアンチエイジンクが流行するなか、“目力(めぢから)”アップのためのさまざまなサービスが充実してきている。
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増毛前(右)と増毛後のまつ毛(左)(ジャパン・スーパー・コスメトロジィ提供) |
澄んだ瞳に…
東京都渋谷区と品川区などにある「目の美容院」は、目の疲労回復、老化防止を手助けする珍しい目のマッサージ店だ。その1つ、渋谷区内の恵比寿本店は2年前の6月にオープンし、院長は「アイソロジスト」の大野木まりさんが務める。
「アイソロジスト」とは、アイ=目と、リフレクソロジスト(反射療法士)を組み合わせた造語で、目の美容院の登録商標だ。目の使いすぎは充血やくまだけでなく、肩こりや腰痛、頭痛、不眠症の原因にもなるため、大野木さんは“アイソロジー”を全国に普及させたいと意気込む。
アイソロジーでは、目に高濃度酸素を与える機械を使ったり、足や頭の目に関するツボを磁気で刺激したり、刺激や目の周辺のマッサージなどにより、目の疲労回復、目の周囲の筋肉のたるみ緩和などを目指す。疲れ目気味の記者も、さっそくツボを刺激するコースを体験してみた。
すると不思議…。白目の部分は、子供の目のように青みを帯び、目を見開く力がついたせいか、いつもは隠れている白目の部分が開き、その後2日間、一回り目が大きくなったように感じた。
「個人差はありますが、加齢により目の周囲の筋肉が衰え、だんだんまぶたは落ちてきます。まぶたを開く力を回復させたいと90歳のおばあさまも来店されますよ」と大野木さんは話す。
変わる印象
顔全体の印象作りにはまつ毛も重要な役割を果たす。ところが、まつ毛も、加齢による変化は避けられない。資生堂が平成17年に、20代から50代の女性を対象にアンケート調査を行ったところ、加齢によりまつ毛が細くなった(約60%)▽量が減った(約75%)▽抜けやすくなった(約70%)−などの結果となった。年齢を重ねるにつれて、まつげの長さは短く、本数は減る傾向がみられるという。
4月末に東京・丸の内にオープンした都内初の目専門のエステサロン「ル・キヤ アイスペシャリテ丸の内店」は、人工のまつ毛を張り付けて増やす「ウィッグ」コースを開設。「30代になって、まつ毛のボリュームがなくなってきたから、増やしてほしい」▽「目尻のまつ毛増やして、すずしげな印象に」など、さまざまな要望が寄せられ、1本1本吟味しながらまつ毛を足していく。
運営するジャパン・スーパー・コスメトロジィ株式会社(大阪市)の鍛治伸幸取締役は「自然なまつ毛、人形のようにぱっちりしたまつ毛で、顔の印象はずいぶん変わります。TPOによって使い分ける方もいらっしゃいます」と説明する。
“増毛”効果
当然、自前のまつ毛で“増毛”効果を目指す人も増えている。花王のアンケート調査では、13年にマスカラを使っている18〜59歳の女性は30%だったが、昨年9月の調査では54%に増加していた。50代の場合、マスカラだけでなく、アイライナーの使用率も4年間で2倍に増えていた。
同社では、目頭と目尻の細いまつげにもしっかり塗れるマスカラや、ぬれたように見えるマスカラ、ボリューム感が出るタイプなどを販売し、要望に応えているという。