宮崎駿氏「子供たちがさわれる展示会を」
ジブリ美術館「3びきのくま」展
速報
映画にできないとっておきのおはなしを身体で感じて−。三鷹市下連雀の「三鷹の森ジブリ美術館」で、世界的に有名な絵本「3びきのくま」の世界を再現した企画展が始まった。同館の館主で、スタジオジブリの宮崎駿氏が企画、高畑勲氏が解説を担当。子供たちに物語の世界を体感してもらおうと、展示物は実際に触れることができるよう、頑丈に作られている。
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絵本の世界を三次元で再現「3びきのくま」展 |
「3びきのくま」は、イギリスの昔話をもとに、ロシアの文豪・トルストイが、独自の解釈で分かりやすく再構成した物語。日本では昭和37年、福音館書店が初めて出版している。
宮崎氏は当初、この絵本の短編映画化を検討したが、作品が持つ言葉と絵の力に圧倒され、企画展を開くことにした。宮崎氏が高く評価するユーリー・バスネツォフが絵を描いた「3びきのくま」(1935年、ソ連版)が題材となっている。
女の子がクマの留守宅に忍び込み、スープを飲んだり、椅子(いす)を壊したり、ベッドで寝たりと好き勝手に過ごしていると、クマの家族が帰宅。クマは女の子にかみつこうとするが、逃げる女の子に追いつけない、というストーリー。
会場は物語になぞらえ、2つの部屋で構成。展示物は父、母、子供の計3匹のクマのほか、鬱蒼(うっそう)としたロシアの林も再現。スプーンなどの備品も頑丈な木製で、触っても壊れないよう配慮した。
宮崎氏は企画展に寄せた文章の中で「子供たちがさわったり、つついたりするのは、生きて成長しようとする力を持っている証拠。それにしては、この世界はなんとたくさんのさわってはいけないもので満ちていることだろう」「一見何の教訓も教育的効果も見当たらない『3びきのくま』に、子供という存在の本質を肯定する愛情がこめられている。存分に子供たちにさわってもらおう」などと説明している。
来年5月まで。ジブリ美術館は日時指定の完全予約制。問い合わせは(電)0570・055777。
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